日本の産業を支えるベテラン人財の力を、次の世代へとつなぐ。
株式会社VAMO(ヴァモ、以下VAMO)は、定年退職後の方々と企業をマッチングし、経験や技術を活かした産業支援・地域活性化を進めるベンチャー企業です。
そんなVAMOが当初抱えていたのは、「伝えたい想いはあるのに、伝える手段を持っていない」という広報の課題でした。
そこで三宅社長が選んだのは、広告ではなく、“ストーリーで伝える”という新しい広報のかたち。
「かけ捨てではない、資産になる発信を」
その想いから始まった、ストーリーテラーズとの取り組みも、もうすぐ1年を迎えます。今回は、VAMOの三宅社長に、その導入のきっかけから現在までの歩みを伺いました。

広告への違和感と、もやもやした課題感
高野: 三宅さんと初めてお会いしたのは、名古屋で行われた代表世話人 杉浦さん主催のセミナーでした。
同じグループになり、地元の有機農家さんを訪ねるフィールドワークをご一緒して──。創業期も近く、すぐに意気投合したのを覚えています。
三宅さんは当時から、広報に関する課題を感じていらっしゃったんですか?
三宅: すごく大きな課題感があったわけではありませんが、「広報をなんとかしなきゃ…」という思いはずっとありました。
どうすれば、VAMOのことをもっと知ってもらえるのか。
どうすれば、ベテラン人財の方々に登録してもらえるのか。
そう考えたとき、いわゆるWeb広告は、うちには向いていないなと感じていました。
名前も知られていない会社が広告を出しても、むしろ怪しく見えるかもしれない。
それでも、何もしないわけにはいかない。
そんな“もやもや”を抱えていたんです。
そんなとき偶然高野さんとお会いして、「ストーリーで伝える」という考え方を聞いた瞬間に、「これだ!」と思いました。
“ストーリー発信”こそ、VAMOらしいやり方だと感じたんです。
「資産になる」という言葉に惹かれて
三宅: ストーリーテラーズさんに惹かれたのは、「ストーリーで伝える」という点と、その発信が「自社の資産になる」という考え方でした。
広告は、出したら終わり。
効果がなければ、何も残らない。
でもストーリーは、積み重ねていくほど価値が増していく。たとえ今すぐ誰かに届かなくても、5年後、10年後、その蓄積が誰かの心に響くタイミングが来るかもしれない。
それって、すごくいいなと思ったんです。
ストーリーで語ることでブランド価値が上がり、その成果が資産として残っていく。そこが広告との大きな違いであり、魅力だと感じました。
高野: ありがとうございます、めちゃくちゃ嬉しいです(笑)。
でもベンチャー企業の場合、急成長のフェーズで“すぐに成果を出したい”と考えるところが多いと思います。
三宅さんには、そうした考えはありませんでしたか?
三宅: もちろん、すぐ結果が出れば嬉しいですよ(笑)。でも、うちの事業は「共感」や「安心感」が何より大切。だから、今日明日で結果を出すことは現実的ではないと思っていました。
それよりも、ストーリーを継続的に発信し、少しずつ共感が広がっていく中で登録者が増えていく──そのほうがVAMOらしい、自然な成長だと思っていました。
社長の私ではなく、ベテラン人財を前面に
高野: なるほど…そこまで明確な発信の意図をお持ちだったなら、社内で記事発信を内製化しようと考えた時期もあったのでは?
三宅:いえ、ないです(笑)。というのも、単純にうちには“できる人がいない”んです。私をはじめ、メンバーの誰もが文章を書くことや発信を得意としていなくて…。
それに正直、私自身も自分が表に出ることは好きではありません。SNSで頻繁に発信するタイプでもないし、あまり前面に立ちたいとも思わない。
だからこそ、そうした発信を代わりに担ってくれる存在がいるのは、本当にありがたいと思いました。
また、VAMOの広報戦略としても、私が前に出るのは得策ではないと考えていました。ピッチイベントなどビジネスの場なら私が話す意味はありますが、登録を検討しているベテラン(シニア)層に向けては、私が出すぎると逆効果になりかねません。
30代の若手社長が前面に出ると、どうしても“イケイケベンチャー感”が出てしまうというか…。
「なんか、ここは違う」と感じられてしまっても無理はありません。
それよりも、実際に現場で活躍しているベテランの方々や、うちのシニアマネジャーである小柳のようなメンバーが登場する方が、ずっと説得力も安心感もあると思いました。
そう考えたとき、「やっぱり伝えるべきは、彼らのリアルな“ストーリー”なんだ」と、改めて実感したんです。

高野: なるほど。「ベテラン層の人材派遣事業をしています」という広告ではなく、“人のストーリー”として発信することが、VAMOらしい広報のかたちだと…。 それが結果的に、かけ捨てにならない“資産”にもなりますもんね。
三宅:そうなんです。何度も言いますが、「かけ捨てにならない」というのは本当に大切だと思っています。広告は結果が出なければ、何も残らない。でも、ストーリー記事は残るし、時間が経つほど価値が増していく。
それに高野さんからも「ストーリーは自由に使ってください」と言っていただけるので、記事をブログとして掲載するだけでなく、営業資料や冊子としても活用できる。“広報資産”として手元に残るのは、ストーリーならではの強みですよね。
立ちはだかった「作っても読まれない」という壁

高野:VAMOさんでは、公式noteを立ち上げ、まずは社長である三宅さんご自身のストーリーから発信をスタートしました。そこから、ベテラン人材の活躍ストーリーへと広げていきましたが、実際に発信を始めてみて、感じられたギャップや新たな課題などはありましたか?
三宅:ギャップというより、“現実”を痛感しましたね。記事を作っても、なかなか読まれない。 「こんなに読まれないものなんだ」と、正直驚きました。きっと多くの会社も同じ悩みを抱えていると思います。どれだけ良い記事を書いても、読まれなければ意味がない。そこが一番の壁でした。
高野: そうでしたね。当初はFacebookページを立ち上げて発信したり、登録者向けのLINEにも記事を配信したりと、いろいろ試行錯誤しました。やはりコンテンツを「つくる」ことと「届ける」ことはセット。発信の仕組みづくりについては、私たちだけではなく、VAMOさんと“チーム”で一緒に取り組んできました。
三宅: はい、その際も本当に助かりました。Facebookページの提案から実行まで伴走してもらって、一緒に課題をひとつずつ解決していく中で、だんだんと「読んでいただきたい方に届ける」イメージも湧いてきました。
そして、そのプロセスの中で生まれたのが「WAZAPEDIA(ワザペディア)」の構想でした。
>>試行錯誤の中で、三宅社長が見出したのは、“眠っている価値を広報資産に変える”という新しい挑戦でした。【後編】では、そのきっかけとなった“ワザペディア”誕生の裏側をお届けします。