10月の終わり、ストーリーテラーズの合宿を開催しました。前回は2022年の春だったので、実に1年半ぶりのリアルな集まりです。
私たちのメンバーは、住んでいる場所も、生活スタイルも、本当にバラバラ。北は長野から西は関西まで広がり、子育て中のメンバーも多く、それぞれが自分の暮らしを大切にしながらフルリモートで働いています。
普段はチャットワークやオンラインミーティングが中心で、物理的に集まること自体がとても貴重。だからこそ、今回の合宿には、強い意味を込めていました。
親会社からの卒業と、ここから始まる自分たちの歩み
ストーリーテラーズは、もともと「チームエナジー株式会社」という会社の100%子会社としてスタートしました。2021年9月のことです。代表の中村さんに声をかけていただき、「ライティングの事業をやってみないか?」とお話をもらったのがはじまりでした。
そこから少しずつですが、事業も育ち、信頼してくださるクライアントも増えてきて——このたび、私たちは親会社から独立することになりました。株式を買い取り、完全に自分たちの手で舵を取ることになります。
もちろん、これまでだって自由にやらせてもらっていたのですが、やはり「経営」という意味では全く違います。自分たちで判断し、決断し、責任を取る。そういうフェーズにいよいよ入ることになりました。
この節目に、ちゃんと未来の話をしよう、仲間と向き合おう。そんな思いで合宿を企画したのです。
これから10年、どんな会社でありたいかを考える時間に

合宿の場所に選んだのは、丹波にある旧神楽小学校という、廃校を活用したコワーキング施設です。
もっとスタイリッシュな場所の候補もありましたが、「自然の中で時間の流れを少しゆっくり感じながら、未来のことを話し合いたい」という思いから、この場所を選びました。
当日は、校舎の窓の向こうに山の稜線がのび、木々を渡る風の音も静かに届いてきます。会議室というより、「語り合う場」という言葉が似合う、穏やかでどこか懐かしい空気に満ちていました。
みんなで輪になって話しているうちに、気づけば話題は「この会社を10年後、どうしていきたい?」という問いへ。
これまでも予算や目標数字は立ててきましたが、どこか「やらなければならないから決めている」という感覚が拭えませんでした。
それが今回の合宿では違っていて、はじめて自分の内側から「こうしたい」「こうありたい」という言葉が、はっきりと立ち上がってきたように感じています。
「この会社を継ぎたい」と思ってもらえる未来を描いて

一番強く思ったのは、「継ぎたい」と言ってくれる誰かが現れるような会社にしたい、ということでした。
会社って、立ち上げた人の想いや熱量で成り立つところがあるけれど、いつかは誰かにバトンを渡さないといけない。そのときに、「じゃあ私がやります」と手を挙げてくれるような会社であってほしいと思ったんです。
それは、簡単なことじゃない。継ぎたいと思ってもらうには、ちゃんと魅力がある会社でなければならない。
たとえば、財務的に健全で、安定した売上と利益があって、投資もできる状態であること。
社会的な意義や、時代性に合った事業をしていること。
そして、人の面では、一人ひとりが自立して、自分の責任でお客様に向き合えていること。
そのどれもが簡単じゃないけれど、私が本当に目指したい会社の姿です。
見えてきた、チームの成長とこれからの可能性

合宿で驚いたのは、メンバーたちがストーリーテラーズという会社のことを、とても深く理解してくれていたことでした。
これまで私が一人で考えて決めて、それをみんなに共有して…という場面が多かったけれど、今回の合宿では、みんなから出てくる言葉が本当に的を射ていて、むしろ私の方が学ばされるような時間になりました。
しかも、「私だったらこうする」「それならこっちの方向性もあると思う」と、どんどん意見が出てくるのです。それは単なる思いつきではなく、実際にお客様に向き合っているからこそ出てくるリアルな声ばかりでした。
また、今回どうしても現地に来られなかった長野のメンバーはオンラインで参加してくれました。画面越しではあっても一緒にビジョンを共有し、対話の輪に入ってくれたことは、とても心強かったです。
リモートでつながる日々が当たり前になった私たちにとって、「一体感」は自然に生まれるものではなく、意識して育てていくものなのだと強く感じています。
私はこれまで、どこかで「スピード」ばかりを優先してきたのかもしれません。だからこそ、これからは少し立ち止まりながら、みんなで考え、みんなで遠くへ進んでいく──そんなチームでありたいと改めて思いました。
ここからまた、一歩ずつ、育てていきたい
合宿を経て、ようやく「自分たちの足で立っていく」という感覚が、少しずつ現実味を帯びてきました。もちろん、まだまだ足りないところもあるし、私自身、もっと経営のことを学ばなければと感じています。
正直に言えば、経営には想像以上のプレッシャーがあります。「これでいいのか」と自問する場面も、思っていた以上に多いものです。
そんなとき、じっくりと誰かと話す時間や、そばで支えてくれる仲間の存在が、心強い支えになっています。
仕事のご依頼も少しずつ増え、その期待に応えられるチームへと育ってきた実感もあります。土台を固めながら、この先をつくっていく段階に入ったのだと感じています。
ここで慌てたり、欲張りすぎたりすれば、きっとバランスを崩してしまうでしょう。だからこそ、今いちど「足元を見る」ことを大切にしたいのです。
経営にも、チームにも、未来にも。これまで以上にしっかり向き合いながら、それでも楽しむ気持ちは手放さずに進んでいきたいと思っています。
「継ぎたい」と思ってもらえる会社になるために。
私たちの未来は、まだ始まったばかりです。