この仕事をしている中で、よく聞く悩みのひとつが「社内がなかなか協力してくれない」というもの。
特に「採用広報=社員インタビュー」というくらい、インタビューがメインコンテンツになっている中で、顔出しNGやインタビューNGの社員が多いと、途端にネタが尽きたような気持ちになってしまいますよね。
でも、協力してもらえないからといって、発信を止めてしまうのはもったいない。
この記事では、そんなときに採用広報担当者ができる代替コンテンツをご紹介します。
「顔出しNG」でも意外と…
代替コンテンツの話に入る前に…
「インタビューは嫌です」という社員さんも、よくよく話を聞くと「話すのはいいけれど、顔や本名が出るのが嫌だったんです」という方もいらっしゃいます。
つまり、「協力しません!」というわけではなく、顔や本名が出ない範囲であれば大丈夫というニュアンスだった、というケースもあるわけですね。
その場合は、仮名にして、画像素材は後ろ姿や手元の写真だけでもOKかどうかを確認してみると、案外協力してもらえることもあります。
特にエンジニア職などでは、ヘッドハンティング防止のために実名や顔出しを避けたいという企業もあります。
そのような場合でも、仮名+後ろ姿のインタビュー記事は十分に成立します。
一度、「顔出しせず仮名で、インタビュー自体はOKか?」を聞いてみるのも一つの方法ですね。
それでも難しいときは、「自分で取材・発信」してみよう
それでも社内から協力が得られない場合は、採用広報担当者自身がネタを見つけて書くという方法になります。
確かに社員インタビューよりライトな発信になりますが、それでも充分にその価値はあります。
言うなれば、自分が“社内の新聞記者”になったつもりで、会社のことや業務のことを調べたり、社員に少し話を聞いたりしながら、自分が感じたことを言葉にしていくイメージです。
採用広報担当者は、会社全体を理解することが求められる立場。だからこそ、発信を通して「会社を知る」ことそのものが、採用広報における大切な学びのプロセスになりますね。
応募者が知りたい「7つのテーマ」を意識する
とはいえ、何を書けばいいのか…やっぱり悩みますよね。そんなときは、応募者が知りたい情報を整理して考えてみましょう。
ちなみに、私たちがご支援先にお伝えするカテゴリーは大きく7つです。
- どんな会社なの?(理念・存在意義)
- どんな仕事をしているの?(事業内容・仕事内容)
- どんな人たちがいるの?(文化・人間関係)
- どう成長できるの?(教育・裁量・評価)
- 将来どうなる会社なの?(方向性・安定性)
- どんな環境で働けるの?(待遇・働き方・制度・福利厚生)
- 採用担当はどんな人?(人柄・姿勢・価値観)
このあたりを、採用広報の目線で定期的に伝えていくイメージです。
では、具体的なテーマ案を30個ご紹介しましょう。
採用コンテンツテーマ案
- 社名に込めた意味と、そこに込めた創業の想い
- 社内でよく使うキーワードと、その背景にある価値観
- 「何のためにこの会社は存在するのか」を改めて考えてみた話
- 「この仕事は世の中に必要だ」と私が感じたエピソード
- ◯年前の会社と、今の会社を比べてみると…?
- 経営方針発表会の舞台裏
- 1つの案件がどんな流れで進むのかをご紹介
- 営業がお客様との打ち合わせで大切にしている3つのこと
- 社内プロジェクトの進行方法と使っているツール紹介
- チームで成果を出すための「役割分担」の考え方
- リモートワークや勤務制度のご紹介
- なぜお客様は、数ある会社の中で自社を選んでくださるのか考えてみた
- 新規事業立ち上げの裏側で見えた、チームの強み
- 新入社員さんが最初の3ヶ月で学ぶこと
- “OJT”ってどんな感じなの?◯◯部署のOJTについて迫ってみた
- 自社の評価制度の一部を抜粋してご紹介!
- 社長に聞いてみた!3年後に目指す会社の姿。
- この3年間で導入した福利厚生制度ご紹介!
- 有給取得率を高めるためにした3つのこと
- これがないと仕事にならない!自社が活用しているITツールをご紹介!
- 面接官が面談時に大切にしている3つのこと
- 採用担当がカジュアル面談で意識していること
- 面接でよく聞かれる質問とその回答まとめ
- 私たちが「この人と働きたい!」と思う瞬間は?
- 採用担当のわたしが最近読んでよかった本3選!
- 社内の“ほっこりエピソード”紹介
- 私が、この会社でチームの一体感や団結力を感じた瞬間
- 今後自社が注力していく分野は?
- 採用担当がこの仕事をしてい良かったと思える瞬間
- 社員のキャリアアップ例3選
この中で「いやこれは書けないなぁ…」「これはうちには合わなさそう」といった内容こともあるとは思いますが、インタビューをしなくても、採用広報担当として書けるテーマは結構あるものですよね。
「社内が協力してくれる」ようになるまで
実際、最初は社内から理解が得られず、広報担当の方が地道に発信を続けていた企業さんもあります。当社のご支援先で、調剤薬局や老人ホームを運営する会社さん。
その広報担当のHさんがこんなことをおっしゃっていました。
「最初は、広報として店舗に行っても“広報のHさん?広報って普段何をしてるの?今私たちも忙しいからそんな時間は取れないです”という反応が返ってくることがよくありました。
でも、現場で撮影させてもらった動画をInstagramに発信し続けていたある日。久しぶりに店舗に伺うと『面接に来た人が“インスタ見ました”って言ってくれたよー』と嬉しそうに報告してくださって。
現場でも広報の実感を感じられるようになると“真正面で撮られるのはいやだけど、このアングルや風景なら撮っていいよ!”などといって、少しずつ協力してくれるようになりました!」
と。
私も毎月Hさんと定例ミーティングをさせていただいていますが、その地道な姿勢と行動力からは、学ぶことがたくさんあります。
「最初からうまくいかなくても、ちゃんと変わっていく」
すぐに反応がなくても、誰かの心にはきっと届いている。その積み重ねが、少しずつ社内の空気を変えていくのですね。
広報は短期的に劇的に成果が出るものではないですが、続ければそれは会社の資産になり、あとからボディーブローのようにじわじわと効いてくるもの。
地道に、頑張ってまいりましょう!