営業支援を軸に、企業の課題解決に取り組む株式会社ビズリンクス(以下、ビズリンクス)。
代表取締役の新井学さんは、自社サイトにウェブマガジンを立ち上げたり、noteを通じた情報発信をするなど、コンテンツを通じた情報発信に積極的に取り組んできた経営者です。
そんな新井さんが、ストーリーテラーズによる「Kindle出版」サービスを活用されたのは、2025年11月のこと。
2026年1月には、コロナ禍での苦闘とフルリモート組織への転換を綴った著書『逆境サバイバル:コロナ禍で迎えた第二創業の記録』を出版されました。
「自分の本を出版する」という経験が、新井さんにもたらした変化とは。
そして、制作のプロセスが、新サービス「CEO Portfolio」確立の大きな転換点となった理由とは。
10年目の節目に挑んだ、言語化の舞台裏についてじっくりとお話を伺いました。
「自分の本なんて、考えたこともなかった」—ウェブマガジンの縁が、電子書籍制作へ
高野:新井さん、今日はよろしくお願いします。まず最初に、ビズリンクスさんの事業について、簡単に教えていただけますか?
新井:当社は「働き方をアップデートする」をビジョンに掲げ、2015年の創業以来、営業・マーケティング領域の支援を行ってきました。
主力サービスは、月額時間制のオンライン営業支援サービス「セリーズ」です。営業やマーケティング部門をより付加価値の高い仕事へと変えていくお手伝いをしています。
最近では、経営者専門の広報部「CEO Portfolio」や、事業の解像度を上げて営業効率を高めるプログラム「コクリエ」なども展開しています。

高野:営業支援からコンテンツ・広報の領域にも、事業が広がってきている、と。その変化の背景には、本日お話しする「Kindle出版」の経験が関わってくるんですね。
新井:はい。そもそもストーリーテラーズさんを知ったきっかけは、御社でライターをされている弓橋さんと繋がりがあったことです。
当時は経営者向けブランディング支援の新サービス(CEO Portfolio)を構想しており、まずは私自身がその第一号の事例となり、サービスの価値を伝えられるようにしたいと考えました。
そこで、ライティングパートナーとして弓橋さんに私の記事の執筆を依頼しました。
そんな中、弓橋さんから「ウェブマガジンだけでなく、Kindleで電子書籍を出版するという発信手段もありますよ」というお話を聞いて。
高野:弓橋さんから、新井さんにご提案された形でしたね。
新井:そうなんです。それまでも、電子書籍やペーパーバック(紙の本)のことはなんとなく知っていましたが、実際に制作・販売までできる知人や会社が周りにいませんでした。
ですから「自分の本をつくって出版する」なんて、考えたこともありませんでした。
でも、「今後は書籍の出版という武器もあった方がいい。まずは自分の本を作って出版してみよう」と思い、弓橋さんから高野さんをご紹介いただいたというのが経緯です。
「すでに情報資産は十分にある」—その一言が、踏み出す勇気をくれた

高野:2025年11月に初めてお打ち合わせをさせていただきました。当初は「初めての電子書籍制作・出版」ということで、不安はありませんでしたか?
新井:不安はなかったですね。弓橋さんにはすでにウェブマガジンでの実績があり、Kindle執筆も依頼する流れとなっていたため、全幅の信頼を置いていました。
ストーリーテラーズさんにも電子書籍の出版事例が複数あったことや、高野さんご自身の著書があったことも、信頼できる点でした。
それに、私のnoteを事前に見てくださって、「すでに新井さんの情報資産は十分にあるので、追加のインタビューのみで素敵な電子書籍が作れますよ」とはっきり言い切ってくださったのが、一番の安心材料になりましたね。
高野:当社のお客様の多くは「発信や言語化が未経験」の状態からスタートされます。そのため、新井さんの場合は初期段階で明確な完成イメージを共有できたことが、安心感に繋がったのですね。
新井:そうなんです。最初からストーリーブックの完成形のイメージを持って話してくださったので、安心してお任せできました。
「沿革」ではなく「ストーリー」へ—第三者のインタビューの価値

高野:実際に制作・出版されてみて、「依頼してよかった」と感じた部分はどのようなところでしたか?
新井:まず第一に、「自分で書籍を作ることはできない。プロに頼んでよかった」と痛感しました。単にnoteや自社サイトで情報発信することと、本を制作して出版することは、全然違いますから。
高野:どのあたりに、その違いを感じられたのでしょうか?
新井:自分のことを自分でまとめようとすると、どうしても過去・現在・未来の出来事を並べた「沿革」になってしまいがちです。でも、プロの手で章立ててもらうことで、単なる沿革ではなく、ストーリーへと昇華できると実感しました。
また、自分では「普通のこと」と思っていた出来事が、他人から見ると有益な情報だということもある。弓橋さんは「それ、当たり前のことではないですよね。大きな価値ですよね」という目線で話を掘り起こしてくれたんです。
やはり、第三者の視点が必要だと感じましたね。
高野:現在は、AIによる文章作成が普及していますが、書き手の方自身が、ご自身の経験やノウハウに価値を感じていなければ、それらを記載することは難しいですもんね。
新井:まさにそうです。今回のKindle出版は、単なる自分や事業の記録ではなく、第三者と対話し、言葉に落として、共感性と意図を持って、伝えるべき人に伝えるためのツール。
そこに人の手が必要な意味があると思います。
アウトプットが、インプットになった—制作過程で生まれた「新たなアイデア」

高野:本を作る過程で、事業の方向性にも変化があったとお聞きしました。
新井:そうなんです。Kindle出版のためのインタビューを受けている時、「アウトプットしているようで、実はインプットしている」ところがあって。自分の考えを一度アウトプットすると、脳内に余白ができて、新しいことを考えるリソースが生まれた感じがしたんです。
高野:ご自身や会社の「棚卸し」をすることで、次の打ち手が見えてくるような感覚だったのでしょうか。
新井:まさにその通りです。創業10年目という節目に、ちょうど自身のキャリアや事業のあり方を見つめ直していた時期でした。
でも、自分一人ではなかなか完結できない中で、「棚卸し」の機会を得たことで、明確に次のステップが見えてきたんです。
実際、このKindle出版プロジェクトが事業の大きな転換点(ピボット)になりました。進めていくうちに「真の強み」に気づかされた感覚でした。
高野:おぉ…すごいです…!具体的には、どのような気づきがあったのでしょうか?
新井:これまでは営業支援を軸に事業を展開してきたため、新サービスの「CEO Portfolio」もその延長線上で考えていました。
しかし、営業フェーズでの貢献を追求しすぎると、どうしても短期的な費用対効果の話に終始してしまいます。
そんな中「本来、私たちの価値はどこにあるのか」と整理していく中で、自社の「採用の成功」に目が向きました。
当社では、私やチームがnote等で発信を続けたことで、本にも書いた通り、全国から優秀な人材が自然と集まる好循環が生まれています。
それなら、このコンテンツ(発信によるブランディング)が最も力を発揮するのは「採用」というドメインではないかと。
採用を事業戦略の要に置いている企業にこそ、このサービスは一番響く。その確信を得られたのが、今回のプロジェクトでした。
高野:なるほど!10年目という大きな節目に自身や自社を棚卸しでき、新たな展開へ踏み出すきっかけとなったのですね。そう言っていただけて、本当に嬉しいです。
会社の「歴史」と「想い」を、次の世代へ——社内外での活用が広がる

高野:Kindle出版の社内外での反響はいかがでしたか?
新井:当社は比較的年次の浅いスタッフが多いのですが、そういった中で、「うちの会社はこんな経緯があって、今のサービスがあるんだ」と伝えられるものができたのは良かったですね。
採用面接や社員育成の場面でも、この本を手渡すことで、会社の歴史だけでなく、ミッション・ビジョン・バリューも伝えられる。
有効活用できると思っています。
高野:採用ブランディングのツールとしても機能しているんですね。
新井:はい。まさにそこにつながっていきます。
高野:では最後に、今後の展望をお聞かせください。
新井:これまで営業という視点で顧客のソリューションを考えてきましたが、次の10年はクリエイティブで課題解決していきたいです。
コピーライティングなど、会社の魅力を引き出すような仕事にも挑戦できると思います。
そして、採用ブランディングを軸に、ウェブマガジン・オウンドメディア・書籍という3つのコンテンツをセットで提供していきたい。
今後は、採用を経営戦略の要と捉えている企業にしっかりリーチしていきたいですね。
高野:採用ブランディングという切り口で、コンテンツの力を最大化していく。新井さんご自身がKindle出版を通じて体験されたことが、そのままサービスの核になっているのが素晴らしいと思います。
今日は本当に有難うございました!
取材・インタビュアー:高野/構成・文:平澤歩