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10年続く社内報が「対外的な信用」に変わる|東大阪の町工場、三島硝子建材が実践する等身大な広報戦略

「商品はどの会社も似てしまう。だからこそ、中の人の顔が見えることが信用になるんです」。

そう話すのは、三島硝子建材株式会社 取締役の三島あゆみさん。 同社は10年にわたり、社内報『みしま新聞』を発行し続けています。

みしま新聞

驚くべきは、そのクオリティと継続力。

社員から情報を集め、毎月欠かさず社内報を発行し続けるのは至難の業。通常、広報活動は優先順位が下がってしまいがちですが、なぜここまでやり続けることができるのでしょうか。

そこには、社員やその家族との関係構築だけでなく、新規顧客からの信頼獲得という狙いがあり、徐々にその効果が表れている様子。

今回は、発信を継続する広報活動の大切さや、第三者を通じた言語化の価値についてお話を伺いました。

10年続く「みしま新聞」。アナログな手渡しに込める熱量

高野:三島さんと初めてお会いしたのは昨年、2025年でした。 その後、御社が運営されている「てらこもんず(※)」の取り組みを知り、現場を拝見して。 そこで三島さんの想いや、関わる学生さんの熱量に触れて、「ぜひ紹介記事を書かせてほしい」とお願いしたのが始まりでした。

  • ※てらこもんず:三島硝子建材が学生や地域と共に運営するコミュニティスペース。「寺子屋」や「コモンズ(共有地)」を掛け合わせた造語。

三島高野さんに記事を書いていただいて、こんなふうに自分の想いを受け止めてもらえるなんて嬉しかったし、すごく感動しました。なんだか読んでいるだけで泣けてきてしまって。

高野:そう仰っていただけて光栄です! そして今回は、三島硝子建材さんが10年も続けておられる社内報『みしま新聞』について詳しくお聞きしたいと思っています。あれだけの高いクオリティで毎月発行し続けるというのは、並大抵のことではありませんよね。

三島:2016年から始めて、もう10年になりますね。 当社は給料を今も現金手渡しにしているので、毎月必ず社員さんの給料袋に入れて渡しているんです。この『みしま新聞』の担当は社長なんですが、給料日までに必ず作り上げないといけない。 だから前日や前々日は、もう徹夜でパソコンと格闘していますよ(笑)。

みしま新聞

高野:すごい! まるで雑誌の編集者のような熱量ですね。

三島:そうなんです。例えば、当社は修学旅行生の工場見学を受け入れているのですが、そこで毎回100枚くらい写真を撮影するんですね。 でも、誰かが目をつぶっていたり、よそを向いていたりするものが大半。 その中からみんなが笑っていて、なおかつアングルの良いものを選んで、新聞の枠に当てはめて…。 今の御時世ですから、学校の先生にも撮った写真を全て送って確認していただくなど、かなり慎重に作っています。

高野:徹底されていますね。それにしても、毎月発行し続けるには、かなりの「ネタ」が必要になると思います。修学旅行生が毎月来るわけではないですし…。

三島:おっしゃる通り、ネタ探しがとても大変です。でも例えば、誕生日会は社員全員分行っているので、社員の数だけネタがあります。 あとは社員や、そのご家族からも情報提供してもらっているんです。実は、採用されたら「一ネタ500円」の情報提供料をお支払いしているんですよ。

高野:えっ、一ネタ500円ですか! それは魅力的ですね。

三島:そうなんです。よく社員のお子さんからもネタをもらうのですが、ちょっとしたお小遣い稼ぎになっていると思います(笑)。

高野:なるほど。 社長からすればネタが集まって嬉しいし、社員さんやご家族にとっては楽しくお小遣い稼ぎになる。自然と家族も会社の話題に参加する流れができているのが素敵ですね。

三島:そうですね。こういった取り組みを長く続けていくうちに、お子さんたちが「将来、三島硝子建材で働きたいなぁ」と思ってくれたり……そういう輪が広がっていくと嬉しいな、なんて思っています。

「価格競争」から抜け出すための、顔が見える広報

高野:この『みしま新聞』ですが、社員さんやご家族向けだけでなく、御社のホームページでも公開されており、誰でも見ることができますよね。一般的に社内報は社外秘にすることが多いと思うのですが、何か意図があるのでしょうか。

三島:はい。あえて公開しています。その理由は、新たなお客様にも三島硝子建材について知ってもらい、少しでも信頼していただくきっかけにしたいからです。

高野:信頼、ですか。

三島:私たちは、誰かにお金を払って何かをお願いする時、その人や会社のことを知っていた方が安心しますよね。その「安心」や「信頼」が、ものすごく大事なのだと痛感しているんです。 当社はサッシの修理や部品交換といったメンテナンス事業も行っているのですが、以前、新規のお客様に信用していただけなかったことがありました。

高野:なるほど…。

三島:ですから、社内報を色んな方に見ていただくことで、少しでもお客様からの信頼につながればという思いで公開するようになったんです。「細かい技術のことはわからないけれど、この会社の人はみんな良い人そうだな」ということが伝わるだけでも、印象は全然違うと思います。

みしま新聞

高野:確かに、『みしま新聞』からは社員さんの温かい雰囲気や、家族的なアットホーム感が伝わってきます。

三島: 今の時代、商品の説明文だけではどの会社も似たりよったりで、差がつきにくい。 そうなると「安いところに頼もう」という価格競争になってしまいます。 だったら、ホームページに社員みんなの顔が載っていて、仕事以外のエピソードも見えたほうが、人柄を感じて信頼していただけるかなと。三島硝子建材ならではの雰囲気を発信する方がいいと思ったんです。

高野:おっしゃる通りですね。ただ、その発信を1、2回で終わらせず、10年近く継続しているのがすごいです。重要だけど緊急性の高くないことを続けるのは、並大抵のことではありません。

第三者に話して初めて気づいた「自分の軸」

三島硝子建材

高野:社内報を通じて発信を続けてこられた三島硝子建材さんですが、先日、三島さんお一人へのインタビュー記事を作成させていただきました。

三島:そうなんです。これまでは夫である社長がメインで、夫婦2人で話すことが多かったです。 ですから、私の「誰にわかってもらえるんだろう…」という内面の話を、あんなにも詳しく聞いてくださったのは高野さんが初めてです(笑)。

高野:実際にご自身のお話が、第三者を通して言語化されることで、何か感じることはありましたか?

三島:文字として読むことで、「自分の考えには、実は筋が通っていたのだ」という確認作業ができました。 仕事のことや「てらこもんず」のこと……あれもこれもと取り組んでいると、時にそれらが点と点で、バラバラのように感じることもあって。 でも、記事を読んで「一本の線で繋がっていたんだ」と、自分の軸を改めて確認できました。

高野:すごくよく分かります! でも、お聞きしている分には、バラバラな印象は全くなく、どの話も根本は一貫されていると感じていました。

三島:自分では全くわかっていなかったんです。だから高野さんに話を聞いてもらい、言語化されて初めて気づけた発見でした。それに気づかせてもらえたのが自信になったというか、すごく嬉しかったですね。

親子だから言えない言葉も、第三者が介入することで「素直」になれる

高野:今、事業承継などの場面でも、インタビューをして記事にするご依頼が増えているんです。

三島:そこに第三者が介入するって、すごく大事ですよね。 先代の創業当初の想いや、継ぐときの葛藤を、後を継ぐ経営者は絶対に知っておいた方がいいと思うんですよ。

高野:今の時代にそぐわない部分はあるかもしれませんが、その時代に会社の実績を作ってこられたのは先代ですからね。

三島:親子だから照れくさくて聞けない……というのがあるんじゃないかな。 だからこそ、第三者が先代の話を聞いて次の世代のために言語化することによって「応援」が届きやすくなる気がします。

高野: 第三者だからこそ、素直に繋げられる部分はありますよね。

三島: はい。すごいお仕事だと思います。時間はかかるけど、すごく大事な取り組みだと改めて思います。

半径数メートルの「安心」が、やがて社会を変えていく

みしま新聞

高野:今回のお話を通じて、10年続く『みしま新聞』と『てらこもんず』、そして記事。これらが全部、一本の線で繋がった気がします。「顔が見える安心感」の大切さを改めて感じました。

三島:本当にそうですね。 根っこにあるのは同じなのだと思います。 知らないから怖いし、知らないから信用できないだけであって。 そうやって、身近な範囲からお互いを信頼できる関係を作っていくことから全ては始まる。そういう意味で、発信をし続けるって本当に大切なことだと思います。

高野: なるほど…!これからも三島硝子建材さんの「温かいお節介」が、地域へ、そして社会へ広がっていくのを、私もいちファンとして楽しみにしています。 今日は本当にありがとうございました。

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