年末の恒例行事。 先輩経営者Tさんのもとへ、一年の報告に伺いました。
もう15年来のお付き合いになるTさん。 折に触れて力を貸していただいたり、アドバイスをくださったり。 私の歩みを、ずっと見守ってくださっている大切な先輩です。
Hさんは、とにかく勉強熱心。 経営の話はもちろんのこと、 経済、歴史、地政学…あらゆる分野の知識を、深く広く持っていらっしゃいます。
忙しいのにどこにそんな勉強をする時間があるんだろう…。(そして学んだことを全て覚えていられる記憶力がすごい…)
お会いするといつも、ものすごい熱量のレクチャーを受けます。 まるで、家庭教師に2時間みっちりと道を説いてもらったかのような感覚。
今回もまた、背筋が伸びる時間でした。
そこで言われるのは、毎年決まって同じ言葉です。
「視座を上げろ」 。
言葉の選び方は違っても、結局はその一点に尽きるのです。
「採用広報」の、その先にあるもの

今回、私はストーリーテラーズの現状や、今後のことについて相談をしました。 私たちの仕事は、採用広報やストーリーブランディング。
社長や社員さんといった企業の想いを言語化し、記事として届けて広げていくことです。
もちろん、この仕事はとても大切です。 けれどTさんからは「もっと大きな視点を持て」と強く言われました。
「ストーリーテラーズがやっている仕事の価値、作りたい世界観を、おまえ自身がもっと大きく持て」と。
読み物を作り、言語化し、知恵として共有していくこと。 それは、はるか昔から人類が続けてきた営み。 そうすることで、知恵や知識の底上げがなされ、想いが語り継がれてきた。
私たちは単に「採用広報を支援している」というわけではなく、もっと「上位概念」にある場所で、すごく大事な役割を担っている会社であって、 それを無自覚にやるのと、意識して事業をするのとでは、会社の成長は大きく変わるということでした。
もし、広い世界を見ている経営者なら、どちらと仕事をしたいと思うか…。
単なる「代行業者」か、それとも「大きな世界観を共有できるパートナー」か。 答えは、明らかに後者です。
「だからこそ、ちゃんと経営者であるお前自身が、そういう世界に身を置かないといけないよ」
改めて問われ、また深く考えるきっかけを頂いたのでした。
眠っている価値を、未来の知恵へ
ストーリーテラーズを通じて、私が本当にやりたいこととは何なのか。 あるいは、会社という枠組みを超えて、「書く」という行為を通じて自分ができることとは…?
そう考えながら、ふと気づいたことがあります。
私たちが記事を書くときは、既にある情報をまとめているわけではなく、インタビューを通じて、まだ世に出ていない、「誰の目にも触れていなかったものを掘り起こして」います。
もし私たちが話を聞かなければ、そのまま消えてしまっていたかもしれない知恵や想いたち。 その人が亡くなってしまったら、永遠に失われていたかもしれないもの。
私たちはそれを掘り起こし、言語化し、インターネットという海に放っているのです。
大げさかもしれませんが、それは「後世の人類へつないでいく」ことに繋がっているのかもしれません。 未来の人類の知恵を底上げし、想いを継承していく大切な仕事なのかもしれません。
今はAIが発展している時代です。 AIはネット上の情報を拾い、回答を導き出します。 私たちが良質な記事を作り続けることは、巡り巡って人類の知のデータベースを豊かにすることに繋がるのかもしれない。
そんな風に思うようになりました。
私たちがご支援している会社様だけではなく、魅力的な会社なのに、ノウハウやリソースが足りず、社内外に発信できていない企業がたくさんあります。
採用広報という文脈はもちろんのこと、それだけではなく、 眠っていた情報が表に出ることで、50年後、100年後の誰かの役に立つかもしれない。
そんなところを見据えて、今目の前の事業に取り組まなければならない、と思っています。
2026年に向けて
振り返れば、私たちの根幹にあるのは「人の話を聞くのが好き」という純粋な気持ちです。
- 「そんな考え方をされていたんだ」
- 「そんな物語があったんだ」
そういった皆さんの経験に触れることが、楽しくて仕方がない。
私自身、ストーリーテラーズを始める前、ポルシェのブログを書いていた頃から、色んな方にインタビューをしていました。 今の事業をやっていなくても、きっと似たようなことをしていたはず。今、ストーリーテラーズに集まっているメンバーも同じです。
キャリアコンサルタントだったり、旅で出会った人のブログを書いていたり。 人の深いところに触れる仕事をしてきた人たちが、自然と集まっています。
そしてそれが、私たちのDNAなのだと思います。
もちろん、大きなことを言うだけではいけません。 地に足をつけ、目の前のお客様に喜んでもらうこと。
「採用の応募が増えたよ」「いい人が採れたよ」と言っていただくこと。 そうした満足をつく出すことは大前提です。
ただ、私自身が大きな世界観を描かなければ、会社はそれ以上にはならない。
大きくなることが全てではありませんが、成長の可能性を私自らが狭めていくのは違います。
経営者として、めざす世界観をちゃんと言語化し、伝えていくこと。 それが、特に2026年に私がやらなければならないミッションだと感じています。
今のところ、その想いはまだ自分の中で「ふわふわ」としていて、なんとなく言葉にはなっているけれど、まだ弱く、油断するとくしゃっとなってしまいそうなほど脆い。
この年末年始の時間を使って、じっくりと固めていきたいと思います。 未来のために、そして、まだ見ぬ誰かのために。