先日、ご支援先にて「ライティングセミナー」を開催しました。テーマは「AIの力も借りながら、どうやって“自分たちらしい文章”を効率よく書いていくか」。
今日はそのセミナーの内容を、ブログでもご紹介したいと思います。
AIを使えば、記事の“骨組み”や構成はあっという間に出てきます。
一方で、「この文章はなんだかAIっぽすぎる」「こんなこと書いていないのに、“親切に”補足してくる…」というモヤモヤも、多くの方が感じているのではないでしょうか。
今日は、セミナーの内容を振り返りながら、私がライティングのときに大事にしている前提姿勢や、AIツールとの付き合い方を、代表ブログとしてまとめてみました。
制作の前提は「何分以内に書き切る」と決めること

まず、ライティングに入る前の私の“前提の姿勢”についてお話しします。私が一番大事にしているのは、「何があっても、◯分以内に書き終える」と最初に決めることです。
私の場合、3人の育児をしながら仕事をしているため、圧倒的に時間が足りず…。
子どものお迎えの時間には絶対に切り上げなければならない。
日中は予定が詰まっていて、まとまった時間が取れない。
そんな毎日です。
また現在は、ライティング以外の仕事(ディレクション、営業、未来の種まきのための行動)が多いので、それでも記事を書き続けるためには、「隙間時間にどれだけ書けるか」を常に意識し、工夫しています。
たとえば、1000文字くらいの記事なら“1時間以上はかけない”と決める。
いや、1時間はむしろかかりすぎかなぁ。
できれば20分で書き切りたいところです。
こうやって締切を決めてしまうと、自然と「効率よく書くための工夫」が生まれます。これは、「AIを使う・使わない」にかかわらず、とても大事な前提だと思っています。
「違う」と思ったら粘らない。AIツールは高速で回す

AIを使っているときに、つい陥りがちなのが、「うーん、なんか違うんだけどな…」「もうちょっとこうしてほしいんだけど…」と、同じツール・同じプロンプトに延々と付き合ってしまうことです。
私自身も、以前は「もう少し粘れば、いい文章が出てくるかも」と思い、同じチャット画面の中で何度も微修正をお願いしていました。
でも、時間は有限。「なんか違うな」と感じた時点で、そのツールやプロンプトに執着しないことを、今は意識しています。これは違うと思ったら、別のAIツールを試してみる。
もしくは、新しいルーム(別チャット)を立てて、一から指示し直す。「うねうね悩む時間」は使わず、高速で次の対策をうつ。
AIに合わせにいくのではなく、「今の自分の目的に合っているかどうか」でスパッと判断する。
この切り替え前提があるからこそ、「1000文字の記事に1時間以上はかけない」という時間設計が、ちゃんと回っている感覚があります。
Notta/Gemini/AutoMemo、文字起こしツールの使い分け

私が普段記事を書くときは、「自分で10分程度話した音声を録音し、それを文字起こしして記事にする方法」を取っています。これなら、移動時間に録音したものを帰宅後に記事化でき、時間を有効活用できるからです。(時間は命!笑)
今回のセミナーでは、Notta/Gemini/AutoMemoの3つを実際に比較してみました。以下は、使ってみて感じた特徴です。(あくまで私の主観です)
■Notta:温度感はすごく残るけれど、記事化は少し大変
Nottaは、「えっと」「あのー」といった口癖や間合いのような言葉まで、かなり忠実に文字起こししてくれます。インタビューの“温度感”を丸ごと残したいときには、とても良いツールだと思います。
一方で、そのまま記事にしようとすると、口癖が多すぎて、読み物としては少し読みにくい。不要な言葉を削る作業に手間がかかる、という印象もありました。
「発言を記録として正確に残したいとき」はNotta。「読み物にする前提」で使うには、もうひと手間いるかなぁ、というのが正直な感想です。
■Gemini:議事録や“最短での記事化”には向いている
Geminiは、全体としてはNottaよりもなめらかに整えてくれます。(とはいえ、日によって出力も変わるので、ゆらぎはもちろんありますが)句読点を適度に入れてくれる。見出しをつけてくれることもある。
議事録としてまとめてもらうのは、とても相性が良いツールです。
一方で、元の発言を少し“盛って”しまうところがあるのも事実です。
セミナーの中でもお見せしたのですが、私が言っていない表現が、良かれと思って足されていたり、「お問い合わせにつなげるのだ!」という“営業寄りのニュアンス”が、こちらの意図以上に強く出てしまったり、という場面がいくつかありました。
「微修正でそのまま記事化したいとき」「とりあえず形にしてほしいとき」には、とても便利なツールです。ただ、“発言の正確さ”や“自分らしい言い回し”を大切にしたいときは、少し注意が必要だなと感じました。
■AutoMemo:素材として使いやすい、バランス型
私が、そしてストーリーテラーズ社内で一番よく使っているのは、AutoMemoです。「えー」「あのー」といった不要なつなぎ言葉は、ある程度削ってくれる。全体として読みやすい文章に整えてくれる。話者識別も比較的しっかりしている。
という点で、“記事の素材として扱いやすい形”にしてくれるツールだと感じています。
もちろん、弱点もあります。カタカナ語や固有名詞に弱く、そのあたりの誤認識は多め。専門用語の部分は、結局自分で直す必要があります。
それでも、「温度感は残したいけれど、口癖は適度に削っておきたい」という私の好みには、一番フィットしているため、現状はAutoMemoを基本の文字起こしツールにしています。
私が最終的に ChatGPT+AutoMemo に落ち着いている理由

今回のセミナーでは、あえていつもと違うパターンとして、「文字起こしから記事化までをGeminiで完結させる」という実験もしてみました。
文字起こしをGeminiに任せる。
「こういう記事にしたいです」と目的や方針を伝える。
見出し付きのドラフトを一気に出してもらう。
そうやって記事が出来上がるまでのスピードは、正直めちゃくちゃ速いです。
また「もうこのまま出してもいいのでは?」と思うレベルの文章がちゃんと出てきます。
ただ、実際に出てきた原稿を確認してみると、「働き方を貫いています」など、私が普段あまり使わない言葉が多かったり、「お客様からご心配いただくこともあります」など、言っていないニュアンスまで書かれていることも多いです。
そうした違和感が、あちこちで見つかったためこの違和感を一つ一つ直していくくらいなら、「いったんここで切り上げて、いつものChatGPT+AutoMemoのパターンに戻した方が早い」と判断しました。
ChatGPTは、私がこれまで何度も、「こういうトーンで書いてください」「代表ブログっぽく」「高野美菜子の文体に寄せて」とお願いしてきた履歴が残っています。
その蓄積のおかげか、ChatGPTに「この内容でブログを書いてほしい」と伝えると、前提や背景のストーリーといった、私が大事にしたい文脈を、ちゃんと拾って入れてくれていたのが印象的でした。
最終的に私は、文字起こしはAutoMemo、構成づくりはChatGPT、仕上げは自分の手で、という流れに、今のところ落ち着いています。
最後の仕上げで大事にしていること

AIに大枠、8割型作ってもらって書いてもらったあと、最後の「最終整形」で何を意識しているかも、セミナーの中でお話ししました。これはあくまで「私の好み」ではあるのですが、参考までにご紹介しておきます。
1. 「書きすぎ」「言いすぎ」を削る
AIに対して「省略せずに全部書いて」とお願いすると、とにかく丁寧に説明してくれます。でも、一文一文が長くなりすぎて、読んでいて息切れする、ということも少なくありません。
読んでいて「なんだかくどいな」と感じる部分は、思い切って削るか、1つにまとめるようにしています。
2. 断定しすぎない。けれど、言い切るところは言い切る
ノウハウ系の記事であれば、「〜すべきです」「〜がベストです」と言い切ったほうが、読者にとっては分かりやすいこともあります。一方で、代表ブログでは、私はあまり断定しすぎないようにしています。
「〜だと思います」「〜ではないかなと感じています」など、読者が自分の状況に引き寄せて考えられるような言い方を、意識することで、少しでも受け止めやすい柔らかい印象の文章になればいいなと。
ただし、「代表としてここは伝えたい」という部分は、ちゃんと言い切る。
この塩梅は、AIに任せるのが難しいところなので、最後は自分の感覚で整えています。
3. 重複をなくす
AIの文章を読んでいると、「あれ、さっきも同じことを読んだ気がする…」という“デジャヴ”が、よくあります。読者は、一度「さっきも言ってたな」と感じるだけで、そこでスンッと一気に読む気が失せてしまうこともあるため、重複している説明はできるだけ整理して1回にまとめるようにしています。
4. エモさの調整
AIは、感情表現を少し盛りすぎることがあります。そこまでドラマチックではないのに、やたら熱い表現になっている。逆に、すごく大事なところなのに、さらっと流されている。
こうした“温度のアンバランス”は、機械的には判断しづらい部分です。
過剰なところは、少し抑える。軽すぎるところは、少しだけ熱量を足す。という形で、文章全体の温度感がフラットになりすぎないように整えるよう心がけています。
5. 主語と視点をそろえる/文脈の流れをなめらかにする
AIの文章を見ていると、「〜は」と書き出しているのに、後ろの述語がかかっていない。一人称と三人称が途中で入れ替わっている、といった“視点のブレ”も、時々あります。
読み手にストレスを与えないためにも、「主語と述語の関係はおかしくないか」「一人称・三人称が途中で混ざっていないか」「段落同士のつながりが自然か」といった点を意識しながら、流れを整えていくようにしています。
AIに全部任せないから、書き続けられる

セミナーの最後にもお伝えしたのですが、私自身がこれからも大事にしたいのは、「AIで全部完結させようとしないこと」です。
AIは、「文字起こしで“素材”をつくる」「構成を整理して“骨組み”をつくる」「0→1のドラフトを出す」といったところまでは、本当に心強い相棒です。
一方で、「どこまで書くのがちょうどいいか」「どの温度感で伝えるのが、うちの会社らしいのか」「どこを言い切って、どこを余白として残すのか」
といった“最後の数ミリ”は、やっぱり人にしか調整できない部分だと感じています。
だからこそ私は、「何分以内に書き切る」と時間を区切る。『AIの出力結果に粘りすぎず、高速で試して合うものを選ぶ。最終的な温度とニュアンスは、自分の手で整える』というプロセスを、これからも続けていきたいと思っています。
この記事が、少しでも皆さんのお役に立てると嬉しいです。