ストーリーテリング
ストーリーテラーズ流|魅力的な記事作成のためのライティングの極意
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「一言一句を正確に理解し、読み手に寄り添った文章を書く」―それは、当社で活躍するストーリーライター、ヤマダが大切にしている信念です。
そんなヤマダは、インタビューから記事執筆まで、どのようなこだわりを持って取り組んでいるのか。今回は、前編(インタビュー編)に続き、普段なかなか聞くことができない制作プロセスの裏側に徹底的に迫りました。
インタビューから記事化へ:丁寧な文字起こしがすべての土台
高野: では前回に続き、インタビュー後の作業プロセスについて、詳しく教えていただけますか?
ヤマダ: はい。インタビューが終わったら、まず文字起こしの整理から始めます。自分が理解できるように並び替えていくのですが、その時点で要素をいろんなことに分類していきます。「これは経営理念の話」「これは組織づくりの話」というように切り分けていくイメージですね。これをそのままにして書き進めるとわけがわからなくなってしまうので、きちんと整理することを大切にしています。
高野: その作業は、AIを活用しながら進めている感じですか?
ヤマダ: いいえ、文字起こしの整理は自分でやっています。AIを使えば把握はできると思うんですが…私は「その方のおっしゃった一言一句を正確に理解しておきたい」気持ちが強くて。万が一のために、間違ったことを書かないように、復習の意味合いも込めてやっています。
高野: なるほど、そこまで丁寧に…。
ヤマダ: そうなんです。実は自分が聞いているときと、文字起こしを見直すときとでは、印象が違うことがよくあるんですね。聞いているときにスルーしていたことが、「そうか、こんなことをおっしゃっていて、これがあそこと繋がってくるのか…」というように、実は別の話と関連していたことがわかる場合も多々あります。
過去の経験から学んだ教訓
ヤマダ: この丁寧な作業をしようと思うと、時間がかかってしまうんですが、とても大事なプロセスだと考えています。以前、全然違う案件で、インタビューでお聞きした内容をもとに、自分の脳内で架空の事実を作り上げてしまって、誤った事実を記事にしてしまったことがあったんです。
原稿チェックのときに「こんなことは言っていませんでしたよ」と向こうからご指摘を受けた経験があって…。
高野: なるほど!そういった経験が、今の慎重な姿勢につながっているんですね。
ヤマダ: はい。正確に理解するということは本当に大切。二度とあのようなことがないように、と今は強く肝に銘じています。
骨子作りから清書まで:効率化への挑戦
高野: 文字起こし後、ストーリーテラーズでは骨子作り(構成づくり)に入りますが、骨子づくりから清書までは、どのようなプロセスを踏んでいますか?
ヤマダ: 最近は高野さんの影響を受けて、AIを活用するようになりました。過去の記事と骨子と文字起こしを合わせて、過去記事の文体スタイルまで含めて、一回素案を作ってもらうんです。そうすると、そこまで外れないものが出てくるので、それを素案にしながら自分で直して付け足していく、という方法を取っています。
高野: そうすることによって、作業時間は変わりましたか?
ヤマダ: はい、具体的には約1時間短縮できました。以前は骨子作りにすごく時間がかかっていて、2時間くらいかかることもあったんです。骨子と言いながら、シンプルにできず、結構書き込んでしまっていたので…。
それを「もっとシンプルに、箇条書きでいいよ」とアドバイスをいただいて、AIも使うようになってから、今までは骨子と執筆で5時間くらいかかっていたものが、4時間程度で作成できるようになりました。
今後はもっと短時間で質の高いものが書けるようにしていきたいですね。
読み手目線を意識した構成づくり
高野: 記事の構成を考える際に、特に意識されていることはありますか?
ヤマダ: はい。読み手の方全員が、「ブログやnoteの1本目から記事を読むわけではない」ということを意識しています。たまたまおすすめで出てきた記事から読み始める方も多いと思うので、その前提で書くことが大事なと。
今日初めてこの記事を読む人、この会社を知る人向けに、少しでも会社の概要を最初に入れるようにしています。
全部読んでいる人からすると少し冗長に感じるかもしれませんが、用語の解説なども入れるようにして。
高野: なるほど…そのような工夫があるんですね。あと最近感じるのが、ヤマダさんの記事の変化。以前は論理的な構成が特徴的でしたが、最近は感性的な要素も加わってきているように思います。
ヤマダ: 本当ですか!嬉しいです。最近は確かに、以前の論理的できちんとした文章に加えて、「しずる感」というか…温度感のある表現も意識的に入れるようになりました。
高野: その変化はどこから?
ヤマダ: 学んでいるライティングスクールの影響が大きいと思います。私のめざす方がそういう文章を書かれていて、その文章をたくさん読ませていただいています。先に学んでいる先輩スクール生の方々の文章も読ませていただいて、自分で真似るなどしているので、その影響を受けているのかもしれません。
高野: ライティングスキルの向上にかなり意識的に投資している、大事なことだなぁと改めて思いました。
ヤマダ: はい。私はライター歴3年目なんですが、未経験から始めたので、びっくりするほど上には上がたくさんいらっしゃることを痛感していて。自分が選んでいただけるライターになるためには、常にスキルを高め続けていく必要があると考えています。「こういう文章を書きたい」という目標を見つけたら、そこを目指して一歩でも近づけるよう、頑張っています。
最後の仕上げにこだわりをもって。
高野: 清書に関してなんですが、どこかで区切りをつけないと終わらないということってありますよね。何度も読むうちに「あ、これは変えたい」とか「これ違う」とか、修正をたくさん加えたくなって、終わりがなくなってしまう…その判断はどうされていますか?
ヤマダ: 私は清書をして、一回AIで誤字脱字の構成チェックをして、その後自分で音読して言葉の続きをチェックします。納期に余裕があれば、高野さんにお見せする前にもう一度見直して、掲載時にも最後の調整をすることがあります。これは内容ではなく、言葉のリズムの部分ですね。
高野: 完璧を目指すと際限がないですもんね…
ヤマダ: そうなんです。延々とやり続けることもできるんですが、他の案件もあるので(笑)どこかで区切りをつけるようにはしています。でも、読者にひっかかりを感じさせない記事にすることは譲れない部分です。記事を読んでいてひっかかりが2、3回続くと、もう読む気がなくなってしまいますよね。そういうことが起きないように、最後まで気を配っています。
取材の重要性とこれからの展望
ヤマダ: そうは言っても、最初のインタビュー取材が本当に大事です。もともとの素材がしっかりしていないといい記事は書けません。特に採用目的の記事の場合は、会社の経営理念と、社員さんや社長の話がつながっているところを見つけたら、そこをしっかり打ち出すようにしています。
また、時間が許す限り、予定していた質問以外の話も聞くようにしています。一見関係なさそうな話でも、突っ込んで聞いてみると思わぬ発見があったりするんです。インタビュー終了後に「今日どうでしたか?」と感想を聞くと、ポロッといい話が出てくることもあります。
高野: 最後の最後に、お宝が出てくることってありますもんね!
ヤマダ: そうですね。今考えているのは、特に若手社員の方の記事など、半年後や1年後に「あの時こうおっしゃっていましたが、今はどうですか?」というような続編も作りたいなぁーと思ったり…本当は1時間や30分では足りないくらい、もっともっと話を聞きたいという気持ちがあります。
これからも、インタビュースキルとライティングスキルを、もっともっと高めていきたいです!
【編集後記】
今回のインタビューを通じて、魅力的な記事作りには想像以上の準備と工夫が必要だということを実感しました。特に印象的だったのは、ヤマダが、文字起こしの段階から最後の清書まで、一貫して読者目線を意識し続けているという点です。
これからのストーリーテラーズの記事作りが、さらに進化していくことが楽しみです。こうした各ライターの独自の工夫やノウハウを共有することで、チーム全体のスキルアップにもつなげていきたい、今日このごろです。