インタビューは生き物。(ちょっと表現が難しいけど…)
同じ質問をしても、お相手のその日の気分や場の空気によって、想定外の答えが返ってくることもしばしば。
そんな中私は、インタビューではいつもこの4つを意識しています。
- 相手の立場に立つこと
- 質問を“並べる”よりも、“設計する”こと
- 「一番◯◯なことは?」と絞らないこと
- 「絶対に真意はある」と信じて聞き続けること
たったこれだけのことなんですが、これを意識するだけでインタビューの“深度”がまるで変わるなと。今日は、私自身が普段どんな風に考えて、質問を組み立てているのかを少しお話ししたいと思います。
①全ては、相手の立場に立つことから
インタビューにおいて最も大切なのは「相手の立場に立つこと」だと思います。これは別にインタビューに限らず、仕事全般に言えることかもしれません。
「どうすれば相手が話しやすくなるか」「どうすれば、話す人が自分の想いを素直に出せるか」
想像しながら、逆算して空気をつくっていく。そのうえで、話しやすい質問をしながら、だんだん核心に迫っていく。
そうやって、“寄り添いながら進む”感じが、とても大切だと思うのです。
たとえば採用広報のインタビューなら、「仕事内容(一日の仕事の流れ)」や「やりがい」を聞くことが多いと思います。
仕事内容であれば、「現在の仕事内容を教えて下さい」という質問でおおかた答えてもらえますが、「やりがいは?」という質問になると、途端に難易度が上がる。
「急にそんなことを聞かれても、うまく答えられない」という人がほとんどではないでしょうか。
だからこそ、いきなり核心に行かないことが大切です。
②質問を“並べる”よりも、“設計する”
インタビューには目的があります。でも大切なのは、その目的を果たすための質問を並べることではなく、「どうすれば相手がその答えにたどり着けるか」を考えること。
たとえば「仕事のやりがい」を聞きたいなら、私であればいきなり「仕事のやりがいは何ですか?」と直球で聞くのではなく、「大変な経験や、苦労してきた経験は何か?」から聞いていきます。
やりがいというのは、“大変な経験を乗り越えた中にある”ことが多いと思います。何の苦労もなく、気軽に仕事をして「楽しい〜楽ちん〜」という状況の中で「やりがい」なんて感じないですよね。(感じる人もいるのかな)
壁を乗り越えた時や、逆境の中でもがいてもがいてその課題を解決した先に、「大変だけど、この仕事をやっていてよかったな」と思える瞬間がやってくる。
そして、この大変な経験をお話頂いた上で「では、改めて、この仕事のやりがいは何だと思いますか?」と聞くと、相手も答えやすくなっているはずです。
「うちは無茶ぶりが多くて大変だけど、そのぶん力がついた」とか、
「裁量を与えて任せてもらえるのがやりがいです」とか。
他にも例えば、「◯◯さんが所属しているチームの雰囲気が聞きたい」とすると…「チームはどんな雰囲気ですか?」と直球で聞いても「仲がいいですよ」とか「協力し合ってますよ」といった表面的な答えになりがちです。
であれば、「チームで何かを乗り越えた、といった印象深いエピソードはありますか?」とか「自分が大変なとき、周囲の皆さんはどんな風に助けてくれましたか?」といったことを聞いてみる。
すると、その人が大切にしているチーム観や人間関係の様子があらわれてくるので、その上で「ずばり、◯◯さんの所属しているチームってどんなチーム?」と聞いたほうが、相手はより答えやすいですよね。
これは一例ですし、これがすべてではありませんが、質問を並べることではなく、「どうすれば相手がその答えにたどり着けるか」を考えて、質問を設計することが大切です。
③「一番◯◯なことは?」と絞らない
「これまでで一番◯◯だったことは?」と聞かれると、ちょっと困ってしまいます。
「あれもあるし、これもあるし…えぇ!?どれが一番だろう…」と絞ることに意識がいき、うまく話を引き出すことができません。
ですから私は、絞らない聞き方をします。
「これまでで、大変だったなぁと思うこと、ありますか?何個でも良いので教えて下さい」くらいざっくりと聞きます。
それでも出てこなかければ、
「新入社員の時に大変だったこと、初めて部下を持った時の苦労など、その時々で大変だったこと、印象に残っていることはありますか?」と具体的に誘導してあげる。
そうすると、「あ、そういえばあの時…」とだんだん記憶が掘り返されて、話題が出てくるようになります。
私もそうですが、急に過去のことを聞かれても思い出せないけれど、話しているうちに記憶の引き出しが開いて気づけば話が広がっているもの。
オープン質問、クローズド質問(でしたっけ…)などがあるように、インタビューで話題を引き出したいときには、絞らずに、相手が答えやすいように誘導していくことが大切ですね。
④「絶対に真意はある」と信じて聞き続ける
インタビュー中、なかには「いやー特に大変なことはないですねぇ」「これといった挫折もありません」という方もおられます。何を聞いても、一言しか返ってこない、ということもあります。
特に社長クラスの方になると、凄まじい修羅場をたくさんくぐってきておられるので、それ自体が「壁」だと認識してないことも多いんですよね(笑)
でも、その気づかぬ記憶の中にこそ、ストーリーが眠っている。
ですからそんな時は私は、
「◯◯さんは100戦錬磨で来られているから、こんなの当たり前と思われるかもしれないけれど、でも普通の人からしたら“そんなの無理だ”と思われるだろうなぁ…という経験、ありました?何でもいいです、ほんの些細なことでも!」など。
特にインタビューをして記事を書く場合、インタビューの「撮れ高」が薄いと、記事も残念ながら薄くなる。
だから私は、何度でも掘って掘って、「もっとないですか?」「なんでそう思ったんですか?」と、聞きまくるようにしています。
インタビューをする側が諦めないこと。
この人が本当に言いたいことはなんだろう、大切にしてきたことはなんだろう、奥底には必ずそういったものが「絶対にあるんだ」と信じて聞き続ける。
この“信じる姿勢”こそが、相手の心を開くのだと思います。
相手が「自分に本気で興味を持ってくれてる」と感じたとき、人は自然と心を開くものですよね。
…ってこんなふうに偉そうに言ってますけど、もちろん私も最初からうまくできたわけではありません。何度も失敗して、ようやく質問する力、掘り下げる力がついてきたように思います。
さいごに
インタビューはテクニックのようでいて、結局は“人と向き合う力”。
質問を整えることよりも、相手の立場にたち、相手を信じて聞き続けること。
その先に、ようやく“その人の本当の言葉”が見えてくるのだと思います。
といいつつ、私もまだまだ若輩者。インタビュースキル向上をめざして、これからも頑張ります!