「インタビューって、どうやったらうまくできるんですか?」
社内の採用広報に関わる方から、よくそんな質問をいただきます。
確かに、インタビューは難しい。
質問しても表面的な答えしか返ってこなかったり、お相手も緊張してうまく話してもらえなかったり…。
どんなに構成や質問リストを練っても、その場の空気や相手の状態によって、すべてが変わります。
しかも、取材で引き出した内容が、そのまま記事の質を左右します。
特に私たちは“ストーリーライティング”を軸にしている会社なので、表面的な情報だけでなく、「なぜそう思ったのか」「その裏にどんな想いがあったのか」を丁寧に掘り下げるインタビューが必要不可欠。
そういった意味でもインタビューはとても重要で、「インタビューこそ、すべての出発点」だと思っています。
「高野さんにインタビューしてもらってよかった」と思ってもらう
私がインタビューをするうえで、いつも心に描いているゴールがあります。
それは、インタビューが終わったときに、「高野さんにインタビューしてもらってよかった」と思っていただくこと。
「頭が整理された」
「こんな話を他人にしたのは、生まれて初めて」
「忘れていた大事なことを、思い出すことができた」
人によって感じ方は違っても、
「あぁ、この人にインタビューしてもらってよかったな」と思ってもらえるようにしたい。
直接そう言われなくても、相手の表情からそう感じられるように。
そのために私は、“相手から話を引き出すこと”よりも、まずは“安心して話せる場をつくる”ことを一番に考えています。
インタビューの鍵は「場づくり」
特に、採用広報などで社員さんを取材する場合。
「人前で話すのが得意」という方は、そう多くありません。
経営者やリーダー層の方々は、取材や講演など、人前で話す機会も多いので、質問される内容もある程度想定できていて、どんな話をすればいいかが、ある程度自分の中で整理されている。
いわば“百戦錬磨”の方々です。(でも話が色んな方向に広がるので、それはそれで難しい笑)
でも、社員さんは違いますよね。
「うまく話せるかな」
「変なこと言ってしまわないかな」
と不安になる方も多く、ましてや「会社の看板を背負って」となると、緊張するのも当然。
でも、そんな状態では、良いインタビューはできません。
だからこそ最初にやるべきは、“この人になら話しても大丈夫”と思ってもらうこと。
そのための“場づくり”が、何よりも重要になります。
では以下、私が「場づくり」のために意識しているポイントについてご紹介しましょう。(めちゃくちゃ当たり前のことしか書いておりませんので悪しからず…)
相手の心をひらく場づくり。社員インタビュー7つのポイント
① 第一印象は笑顔で
初対面の印象は、想像以上に大きいもの。
特に普段あまり顔を合わせない「広報担当が社員を取材する」という場面では、相手が緊張されていることも多いです。
「どんな人なんだろう」「ちゃんと話せるかな」
そんな不安を抱えた状態で始まることがほとんど。
だからこそ、最初の印象が大事。出会い頭に笑顔であいさつするだけで、場の空気は一気にやわらぎます。
その一瞬で「この人なら安心して話せそう」と思ってもらえるかどうかが決まります。
② 相手より“少しだけ”テンションを高く
インタビューの場には必ず「空気の流れ」があります。
この空気をどう作るかは、聞き手のテンションに大きく左右されます。
エネルギーは、高い方から低い方へ流れるもの。こちらのテンションが低ければ、場の空気も次第に下がってしまい、「どよーん」とした雰囲気になってしまいます。
また、相手のテンションのほうが自分より高ければ、逆に主導権を相手にもっていかれてしまう。インタビュアーとして、それは避けたいところです。
とはいえ、テンションが高すぎても逆効果。「何なんこの人、めっちゃテンション高いやん」とドン引きされても、インタビューはうまくいきません。
静かな方なら、柔らかいテンションの中でも自分のエネルギーを少し上げる。
明るい方なら、それより少しだけ高く構える。
そうすることで、場の空気全体を自然に転がせるようになります。
③ インタビューの目的を伝える
事前に資料を送っていたとしても、日々の業務も忙しく、相手がそれを見ていないこともよくあります。
「今日は何の話だったっけ?」という疑問を抱えたままインタビューが始まると、相手は“何を求められているのか”が分からず、手探り状態でインタビューが進むことに。
だからこそ、冒頭で「今日は◯◯の目的でお話を聞かせてください」と一言伝えること。
「今回は採用の目的で」「◯◯の記事用で」など、意図をしっかり共有してから始めるだけで、相手は安心し、話の方向性も定まります。
④ 「うまく話せなくても大丈夫」と伝える
初めてインタビューを受ける社員の多くが、最初に抱くのは“うまく話せるかな”という不安です。
「ちゃんと話さなきゃ」「間違ったこと言えない」と思えば思うほど、言葉は出てこなくなるもの。
ですから、冒頭では必ずこう伝えるようにしています。
「うまく話せなくても全然OKです。脱線しても、途中で言い直しても大丈夫です。雑談のような感じで、気楽にお話ください」
そう伝えると、相手の表情もふっとやわらぎます。
大船に乗ったつもりで話してもらえるように、こちらもどんと構えてお話を聞けるようにしたいですね。
⑤ うなづきやリアクションは“1.2〜1.5倍”で
特にオンライン取材では、リアクションが伝わりにくい。
だからこそ、意識的にうなずき、少し大きめのリアクションを取ることが大切です。
真顔って、相手から見ると意外と怖いもの(一回鏡で自分の真顔を見てみて下さい笑)。
時に「聞いてる?」「怒ってる?」と誤解されることもあります。
相手が「反応が薄い」と感じると、「今の話、変だったかな」「伝わってないかな」と意識が内側に向いてしまい、話の流れが止まります。
もちろん、大げさに笑ったり、芝居がかった相づちは逆効果。
“2倍”まではやりすぎ、でも“1.2〜1.5倍”がちょうどいい塩梅。
普段、家族や友人と話すときより、少しだけ表情と声のリアクションを大きく意識してみてください。
それだけで相手の話す意欲が大きく変わります。
⑥ 聞く9.5割、話す0.5割
つい相手の話に共感しすぎて、「わかります!私もこの前こういうことがあって…」と話を取ってしまうことがあります。
それは絶対にNG。相手に話題を取られることが何度か続くと、話す気がだんだん失せてしまいます。
だから、基本は“聞く9.5割、話す0.5割”の姿勢。
「へぇ〜!」「そうなんですね!」などの相づちはもちろんOKですが、自分の話は必要最低限にとどめます。
例外的に、どうしても相手が話しづらそうなときには、自分の経験をたとえとして出してイメージをつかませるのもあり。でもそれはあくまで話を引き出す“きっかけ”にとどめましょう。(このあたりはまた別記事で書きます)
⑦ どんな言葉も、まずは肯定する
インタビューでは、共感できる話ばかりではないこともあります。「へぇ…そう思うんだ…私とは違うかも」と感じることも当然あります。
でも、そういうときに表情が固まったり、「え?」という反応をしてしまうと、相手は敏感に察知します。
だからこそ、どんな考え方もいったん肯定して受け止める。
「なるほど!そういう考え方もあるんですね」と一言添えてみたりして。
すると相手は「受け止めてもらえた」と感じ、より深い話をしてくれるようになります。
インタビューは「質問術」ではなく「姿勢」
よく、「インタビューではどんな質問をすればいいですか?」と聞かれますが、
大事なのは“質問の内容”よりも、“その場をどうつくるか”です。
どんなに完璧な質問を用意しても、
相手が心を開いていなければ、良い言葉は出てきません。
インタビューでは、「答えを引き出す」よりも「安心をつくる」ことを念頭に。
次回は、より具体的に「話を引き出す質問の工夫」について書いてみます。
私はちょっと性格が変わっているのか…あまり積極的に話をされない方にインタビューする時こそ燃えます(爆)。「よっしゃ。この人の心の扉を開いて、話が止まらない状態をいかにしてつくってやろうか…」という時のほうが楽しくなるしワクワクする。
…多分変わってますよね。。
そういったことも踏まえながら、色々自分の中でも整理してみたいと思います。
どうぞお楽しみに。