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39歳、3児の母が、人生2度目の経営にチャレンジ | 数多くの挫折を乗り越えて。

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【制作ストーリー】
会社名:株式会社ストーリーテラーズ
事業内容:共感型採用を実現するWantedly運用代行、採用・広報・ブランディングのためのストーリー制作
創業者:高野 美菜子(こうの みなこ)
タイプ:創業者ストーリー


Wantedly運用代行、ストーリー制作を行う株式会社ストーリーテラーズ。その創業者である、3児の母、高野(こうの)美菜子と、その仲間の創業者インタビュー。

2021年9月。とある会社が産声をあげた。

株式会社ストーリーテラーズ。

商品・サービスの魅力が伝わるSTORYを制作する会社」だ。

「企業側」の想いやこだわりと、それを愛用する「顧客側」の生の声、双方の視点で掘り起こした魅力を、「第三者の立場」で文章と写真によってつむぎ、STORYにする。それらをストーリーテラーズのWEBサイトに掲載し、社内外に伝える役割を担う。

代表は、高野(こうの)美菜子、39歳。コアとなるメンバー3人も全員が小さい子どもを持つ母親だ。そのため、ストーリーテラーズは事務所は持たず、普段は自宅で仕事をしている。

ストーリーテラーズ高野

普段は、在宅で仕事を行っている

高野が会社を立ち上げるきっかけは、Team Energy(チームエナジー)という会社と出会ったことだった。同社は「共(きょう)経営」という考え方のもと、夢や事業の実現を目指す人たちに対して、資金面から戦略まで、必要な経営支援を惜しみなく提供している。

3人の子どもを持つ母親で、自分の時間や労力の全てを仕事に注ぐことはできず、働き方はほぼ在宅ワーク。通常であれば、スタートアップとして支援を受けることが難しい彼女が、なぜ、チームエナジーの支援のもと、事業を立ち上げるに至ったのか。

まずは、チームエナジーとの出会いのきっかけを聞いてみることにした。

第一章 はじまりは突然に

ー高野「2021年6月のことでした。日頃からとてもお世話になっている方から、『チームエナジー代表の中村さんが、商品やサービスについてインタビューし、それを文章にして紹介してくれる人を探している。
高野さんは、中村さんのことを昔からよく知っているし、インタビューや文章を書くことが得意だから、ご紹介していいですか?』と連絡を頂いたことがきっかけでした」

高野は、20代の頃に一度会社を立ち上げている。その時、中村氏(当時、中央電力の代表)にお世話になった経緯があった。とはいえ、出産後は仕事もセーブし、全く面会の機会もなかったため、「まずは中村さんの話を聞いてみる」と返事をした。

ストーリーテラーズ高野

女性活躍推進の研修講演の会社を経営していた高野

ー高野「オンラインで打ち合わせをさせていただくことになり、なぜ中村さんが商品やサービスを文章で伝えたいと思われているのか、その理由についてお聞きしました。そして自分なりに『私は、こういう形でお役に立てると思う』と伝えました」

すると中村氏は、こんな風に言った。

「僕の周りには、社会に役立つ商品や素晴らしいサービスを提供しているのに、その魅力がうまく伝わらないと言って、悩んでいる経営者がたくさんいる。

だからいっそのこと、会社にしてしまって、高野さんが社長になるのはどうかな。チームエナジーのグループ会社として立ち上げればいいし、資本金も出す。高野さんは身ひとつでやってくれたらいい。ご主人とも相談して、考えてみて」

と。

ー高野「全くもって、状況が理解できませんでした(笑)私は『ひとつの仕事を受けるかどうか』の話をしていたのに、いきなり、会社を設立し、その代表に就任するところにまで話が飛躍したのですから。
しかも、その時はチームエナジーがどういう会社なのか全く知らなかったので、『え?グループ会社?出資?誰が?何、どういうこと?
と謎だらけでした。…というか、謎しかなかったですね(笑)ただ直感的に、『これはすごいチャンスかもしれない、やってみたい』と、思いました。実際面談の後しばらくは、気持ちが高揚して、ずっと手の震えが止まりませんでした」

高野は早速夫に相談したところ、あっさりと「やりたいなら、やってみたらいいんじゃない?」という言葉が返ってきた。そこで、その日のうちに中村氏に、チャレンジする旨を伝えた。

その後、この話を紹介してくれた杉浦氏に報告したところ、「仕事を受けるどころか、会社を作ることになったなんて…!」と、言葉にならないほど驚かれたと言う。

紹介してくれた、杉浦佳浩氏。もう10年以上のつきあいだ。

それにしても、必要な情報は全く揃っていないにも関わらず、チャレンジしようと思えたのはどうしてか。20代の頃に一度会社を立ち上げた経験があり、「事業を立ち上げる」ことに抵抗がなかったからなのだろうか。

ー高野「いえ、決してそうではありません。むしろ私は、1社目の立ち上げ経験から『もう二度と経営にはチャレンジしない』と固く心に誓っていたからです」

第二章 1社目の起業で経験した挫折

高野は、2009年、彼女が27歳の時に、株式会社ナチュラルリンクという会社を立ち上げた。

様々な会社で研修や講演を行っていた

もともと感覚と勢いで動いてしまうタイプで、10年間必死で頑張っても、会社を軌道に乗せることができず、お金の苦労を嫌というほど味わった。

ー高野「会社を設立して1年ほど経った頃、自宅で明日の準備をしながら財布の中身を確認したら、千円札1枚しか入っていなくて。通帳もすっからからんで、明日、営業に行く交通費すらないことに気づきました。
時計をみると、ちょうど20時。『あ、まだ、ヨドバシカメラがあいている!買取カウンターに何かを持っていけば、お金になるかも!
そう思った私は、早速家にあったゲーム類や売れそうな機器をかき集め、リュックに詰め込んで自転車を走らせ、閉店間際のヨドバシカメラにかけこみました」

いそいで買取カウンターに行き、持ってきたものを広げて換算してもらったところ、「全部で8000円だ」と言われた。

思っていたより少ない金額だったが、1週間はしのげるとほっとしたものの、次の瞬間、自分があまりにも情けなく、みじめで、泣けてきた。

ー高野「もうすぐ30歳になるというのに、そして周りはみんな、結婚し、子どもを産んで、充実した人生を送っているというのに…私は、明日の交通費すらない状況。ヨドバシカメラを出た後、大阪の御堂筋通りを、泣きながら自転車を漕いで帰りました」

そこから数年間、必死に頑張ったが、体調を崩したり、家族や子どもたちのことが後回しになることも多く、次第に仲間も一人、二人と去っていった。

当時は、産前産後もほぼ休むことなく働いていた

ー高野「会社設立から10年が経った頃。『私には経営は向いてない。もう、潔く身を引こう』と決めました。そして、当時お付き合いのあったお客様のみ最後まで対応させていただき、新たに営業はせず、いただいた仕事を年に数回行いながら、しばらくは子育てに専念することにしました」

その後は3年間、子どもを14時に幼稚園に迎えに行き、公園で遊び、帰宅して晩御飯をつくる生活に。服装も「スーツにヒール」から、汚れてもいいデニムにスニーカーに変わり、今までとは180度違う毎日を送ることになる。

子育てに専念し始めた最初の頃は、午前中にスーパーに買物に行くたび、仕事をさぼっているような罪悪感におそわれることもあった。

子どもたちと公園に行くのが日課になった

周囲の華々しい活躍をSNSで目にする一方で、自分はビジネス街に足を運ぶこともなくなり、活動範囲は自宅から半径2キロ程度。

それでも、これまでとはうってかわって、子どもたちに寄り添い、彼らの成長を側で見守る日々は、新鮮で楽しかった。

そして、家事や子育ての合間にほそぼそとプライベートブログを執筆するという生活を続けていたところに、冒頭の中村氏からの話が舞い込んできた。

ー高野「まさに、青天の霹靂でした。そしてもうひとつ驚いたのが、心の奥底にあった『もう一度、チャレンジしたい!このままで終わってたまるか!』という感情が溢れてきたことでした。
頭では『もう諦めよう。自分に経営は向いていない』と思っていましたが、実際は、悔しくて悔しくて、たまらなかったのだと思います」

長い間、無意識のうちに蓋をしていた。

感じないように、見ないようにしていた感情に気づいた高野は、再びチャレンジすることを決めた。

事務所はもたず、自宅のパソコン一台でのスタートとなった


第三章 経営者再チャレンジは、吉と出るか凶と出るか?

思わぬきっかけで、再び経営にチャレンジすることになった高野。

「自分は一度挫折経験があるがもう一度チャレンジしたいこと」「今は家族第一で仕事がしたいこと」など、包み隠さず中村に伝えた。

すると中村氏はこう言った。

「全然問題ない。高野さんの得意なことに集中してもらい、苦手な部分はチームエナジーがバックアップする。家族優先も大事なことだ。まだ小さい子どもいるのだから、事務所ももたず、出社もしなくていい。

ただ…高野さんは、今度こそ、本当の意味での経営にチャレンジするべきだと思う。

一人親方ではなく、会社の大きな方向性を考えたり、みんなをまとめたり、会社を成長させる協業の話を進めたり、そういったことができる人だと思う。1社目でそれができなかったんだったら、今度は、そこにチャレンジしてみよう」

と。

ー高野「今の自分を受け入れてもらった上で、可能性を信じてもらえる嬉しさ、バックアップしてもらえる心強さなどを感じ、正式にチャレンジすることを決めました。
そして早速、周囲に声をかけ、サービス構築段階から一緒に走ってくれるメンバーを募り始めました」

知り合いに声をかけたところ、10名以上の人が「興味がある」と言って集まってくれた。そこから、時間に融通がきくコアメンバー3名を選出し、ストーリーテラーズはスタートした。

中村氏とメンバーの最初の顔合わせの様子。

順風満帆な船出に思えた経営再チャレンジ。ただ、そう簡単には行かないのが世の常だ。

まず「商品・サービスの魅力をSTORYにして伝える」という中村氏のアイデアを、自分の事業として腹落ちさせるまでに、彼女はとても苦労した。

ー高野「私は性格上、自分が『120%信じきれる』と思えるものでないと、人に伝えられないタイプです。だから、毎日コアメンバーとチャットでやり取りしながら、今まで私がやってきたことを整理し、違和感をひとつひとつ消していきました。
また定期的に中村さんとミーティングをさせていただき、
『はい、じゃあストーリーテラーズはなんの会社か一言で行ってみて!』
『えー!一言では言えません!!』
『じゃあ、もっと練らないかんなぁ…』
などと指摘されて(笑)
考えに考えて、考え尽くす日々が始まりました」

チームエナジーでは、自分の事業アイデアを持ち込み事業化するパターンと、チームエナジー内の事業アイデアにフィットする人を募集し、経営を任せるパターンとがある。

高野は後者だ。

せっかく自分で経営するなら「自分のアイデアでチャレンジしたい」という想いは無かったのだろうか。

ー高野「もし、今回が会社設立初チャレンジであれば、自分のアイデアにこだわっていたかもしれません。でも、1社目の起業のときに『私のビジネスアイデアは、市場では通用しない』ということを痛感しました。
人に話し『それ、いいね』と言われることはあっても、実際にお客様がお金を払ってくださるかはまた別の話。ですから、核となる事業アイデアは、百戦錬磨の経営のプロからもらい、私はそれを大きく育てることに集中するほうが、経営の成功確率は上がると思いました」

事業アイデアを腹落ちするまで考え抜いて1ヶ月経った頃、チームエナジーの経営陣や顧問に「法人化に向けた事業プレゼンテーション」をする機会が訪れた。

プレゼンの様子。子どもをおんぶしながらのぞんだ。

1時間ほどのプレゼンテーションを経て、晴れて「ストーリーテラーズをすぐに法人化する」と決まったが、喜びもつかの間、ここから、毎週立ちはだかる新たな壁を必死で超えていく日々が待っていた。

ー高野「とにかく、どんどん話が進んでいきました。

『モニター企業、もう始めるぞ!資料用意して!』
『◯◯社と協業の話を進めよう!』
ホームページ、早いうちに完成させておいて!

スピード感が半端なかったですね。

チームエナジーの皆さんは、口では『高野さんはお子さんも小さいから、自分たちのペースで進めればいいよ』とおっしゃいますが、話がどんどんふってくるので、全然マイペースとはいきませんでした(笑)」

法人化により今まで以上に責任が伴うことになるが、当時の高野は、毎日1歳児がそばにいながら、午後には幼稚園と小学校から子どもが帰ってくるという生活。

仕事に思うように時間が割けないもどかしさ、そして法人化のプレッシャーを感じながらも、スキマ時間のすべてをストーリーテラーズのサービス構築に注いだ。

ー高野「この頃は、ご飯を作りながら、洗濯物をたたみながら、子どもを寝かしつけながら、頭は常に事業のことを考えているという状態でした。心ここにあらずで家事をしていたので、ご飯を作っている時にやけどしたり、洗濯機の中におむつをいれて洗ってしまったり…といったことが、よくありましたね(笑)」

第四章 仲間の存在が、壁を超える力をくれた

そんな中、支えになったのが、コアメンバー3名の存在だ。

幼少期をカナダで過ごし、自身の英語コーチングを行う本部、

本部、彼女も3人の子をもつ母親だ

高野の前職の同期でもある山本、

若者とともに、身近な暮らしからSDGs*をはじめとした社会課題解決に取り組む団体を運営する山本。*SDGs(Sustainable Development for Goals)

人材採用の会社でのトップセールス時代を経て、夫の転勤をきに渡米し、現地で子どもを出産し、子育てに奮闘する大竹。

メンバー最年少だが、最もしっかりしている大竹。

それぞれの持つ知見やアイデアを惜しみなく提供しあい、ともにサービスをつくりあげていった。

とはいえ、全員忙しく、また時差の関係もあり、定例のミーティングは月に1回なんとか行える程度。それ以外は、基本はチャットでやり取りを進めた。

即レスはしなくてもOK』
『家族の行事、旅行などに行く時は、その期間は音信不通でOK』
『子どもの発熱などで急にミーティングに参加できなくなっても、問題なし。毎回録画を取り共有する』

といったルールを決め、自分たちにあったやり方を模索した。

ー高野「自分の中で考え尽くして、顧問との定例ミーティングにのぞんでも、また別の角度からの指摘によってすべてが崩れさる。ミーティングの度に頭をかき回され、積み木を積んでも積んでも崩れて、何も前に進んでいないような無力感を感じる日々でした」

必死で努力しても、うまくいかない。前の会社のように、私のせいでまた仲間を不幸にしてしまう…

1社目の起業のトラウマが、頭をよぎる。

自分が絶対的な自信を持たなければ、この事業は絶対に成功しない」という考えに支配され、取り憑かれたように、四六時中仕事のことを考えるようになっていった。

そんな時支えになったのが、コアメンバーの存在だ。

ー高野「『私たちは、みなちゃんを絶対孤独にさせないから、遠慮せず頼って!ここは私たちに任せて!』
『今日は娘ちゃんの誕生日なんだから、仕事のこと忘れて、全力でお祝いしてあげて!』
など、温かい言葉を常にかけてくれて、動いてくれて、その存在に、何度も救われました」

今では、戦友のような存在のコアメンバーたち

高野は考えるよりも先に動いてしまう猪突猛進タイプだ。その性格を「ブルドーザーのようだ」と形容されることもあるが、瞬発力や推進力はある一方、戦略を練ったり、数字を分析したりするのは苦手だ。

ただ1社目の起業時は、苦手なことも含めて一人で抱え込み、周りに仕事を任せられず、会社をうまく成長させられなかった。

ー高野「1社目の会社を立ち上げた時は、今以上に周りが見えていなかったですね。
でもその時の苦い経験のおかげで、今がある。

そして、ストーリーテラーズの立ち上げをみんなで進めるうちに『これからは、自分ができないところは、積極的に頼っていく。自分の気持ちを正直にさらけだし、みんなに何でも相談しよう』と素直に思えるようになりました。『私って、全然経営者らしくないなぁ』と思うことも多いですが、自分の得意な領域に集中し、チームでストーリーテラーズを成長させていきたいです」

どんなときも、できるだけ自然体でありたいという。

子育てをしながら、チームエナジーの支援のもと会社を立ちあげスタートアップチャレンジを続ける高野。彼女は、現在の環境についてこう話す。

ー高野「『自分のお金でやるからこそ、覚悟が生まれる。ぬるい環境だ』と言われるかもしれませんが、やはり、金銭面でのバックアップがあることは大きいです。
チームエナジーでは、自分で資金を持ち出すことなく、また役員報酬を受けとりながら経営にチャレンジすることができます。

私は1社目の起業のとき、自己資金がすぐに底をつき、借り入れをし、返済のために売上をあげようと焦り、戦略ミスをしてしまったという苦い経験があるので、金銭面のバックアップは有難いですね」

ストーリーテラーズは、事務所をもたず、固定費もほぼかからない。無駄遣いはせず、自分たちでできることは自分でやる。その上で、必要なところに投資したり、冷静に判断していけるのも、金銭面のバックアップがあるからこそだと高野はいう。

また、経営のプロから直にアドバイスをもらえることも大きな支えになっている。

ー高野「中村さんと、モニター企業にサービスを実施する話し合いをしていた時のことでした。私は『まだ実績が無いから、無料でやる』と伝えたところ、中村さんにこう言われました。

『無料はよくない。少額でもお金をしっかりとってやらないといけない。ストーリーテラーズは、高付加価値なサービスを提供したいんだろう?それなら、自分たちの価値を、自ら下げることは絶対にしてはいけないよ
と。
中村さんからのアドバイスすべてが『事業を成功させた経営者と自分との違いは、こういうところにあるのだ』という、生きた学びになりました」

また、チームエナジーの社員や顧問陣の存在も大きい。

チームエナジーでは、社員や顧問が各社を担当し、伴走する体制をとっている。毎週定例ミーティングを行い、ビジネスモデル構築、事業計画策定、協業先の紹介といった支援をしながら、経営者がなんでも気軽に相談できる関係性をつくっている。

ストーリーテラーズ

子どもをおんぶしながらの打ち合わせ風景

ー高野「社員さんや顧問の方からは、いつも、『大事なのは、高野さんやストーリーテラーズの皆さんがどうしたいかです。様々な情報や機会は提供しますが最後は、高野さんとストーリーテラーズの皆さんで決めてください。
私たちは脇役、主役はストーリーテラーズの皆さんですから、私たちをうまく活用してください』
と言われるんです」

高野は当初、チームエナジーメンバーのことを疑ってかかっていた。

「なぜ、この人たちはみんなこんなに親切なのだろう。なんのメリットがあってやっているのだろう。100%出資し、会社が成長したらのっとるつもりだろうか」と。

ただ、この半年間、共に走り、夢を語り共有し、一つずつ形にしていく過程を経て、「この人たちは、共(きょう)経営という信念のもと、ストーリーテラーズが成長し、社会に貢献する価値あるサービスを作り上げることを、本気で応援してくれている」ということが、ストンと腑に落ちるようになった。

ー高野「全員がチームエナジーのような会社に支援してもらって事業を立ち上げる必要はないと思います。自分でできる人は、自分でやればいい。
ビジネスモデル構築、資金の準備、営業活動、採用など全てにおいて自分でやったほうが、覚悟も生まれますし、その事業への本気度もあがると思います。

またその中で自分の裁量でやっていくのが、起業の醍醐味だと思います。

でも、みんながみんな、それができるわけではない。少なくとも私は、一社目で自分の力だけで進めることに限界を感じたわけで。
だったら、チームエナジーのような経営支援チームに力を借りて、自分の夢や事業を形にする方法もあると今は思っています」

第五章 自分が大切にしたいことを大切にできる社会に

2021年7月にスタートしたストーリーテラーズは、9月に資本金1000万円で法人化され、年明けのサービスリリースに向けて大詰めを迎えている。

ー高野「振り返ると、激動の半年でした。もう何年も経ったような感覚です。それくらい、濃くて、こんなに刺激的な日々は久しぶり。
会社設立やバックオフィス関係業務をサポートしてもらいながら、私たちは事業を成長させることに集中できる。何が正解か分からない中で、あぁでもない、こうでもないといいながら、次第に形になっていく。
この上なく恵まれていて、面白く、チャレンジングな環境で、本当に感謝だなと思います」

チームエナジーでは、様々な経営支援体制があるとはいえ、

「不確定要素が多い中でも、まずはやってみる」「自分主体で行動し続けられる」

人でなければ厳しい。いくらサポートがあるとはいえ、そこは、自分で経営するのと同じだと高野はいう。

ー高野「チームエナジーでは、よくも悪くも『経営者が主体』なので、『次はこうしましょう、ああしましょう』と、手取り足取り教えてもらえるわけではありません。『わからないから動けない』では、何も始まらない。
まだ道半ばな私がこんなことを言うのもおこがましいですが、経営者というのは、『すでに道があるところを歩くのではなく、何もないところに道を作る人』なのだと思います。
どちらの道が正解かわからないけれど、こちらを選んで進んでみよう。まだできるか分からないけれど、とりあえずやってみよう。そういった、日々の地道な選択と行動の積み重ね。
華やかに見えるかもしれませんが、実際は泥臭いことのほうが多いように思います」

そうしてひとつひとつ丁寧に積み重ねるうちに、次第に道が見え、仲間が増え、お客様に喜ばれ、自分たちがやっていることが確信に変わり、自分たちが目指す世界を、自分たちの手で作り出していける。

経営者とは、最高に面白く、最高に熱く、最高に楽しい生き方だ。

そんな生き方がしたい人、情熱のある人、高野のように一度は事業につまづいた経験がある人にとって、チームエナジーの環境はとてもあっているのかもしれない。

娘に撮ってもらった1枚

最後に、ストーリーテラーズをどのような会社にしていきたいか、今後のビジョンについて高野に聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。

ー高野「私たちは『STORY』制作を通して、『お客様の商品やサービスが自然と売れるようになる』ことを実現する会社になりたい。
STORYを読めば、今まで伝わらなかった商品やサービスの魅力がお客様に一度で伝わったり、STORYをつくる過程で、今まで知りえなかった顧客の隠れたニーズを掘り起こすことができたり…
そのことにより、業務が少しずつ改善していけば、お客様は今よりもっと『新商品やサービスの開発』『既存顧客のフォロー』に時間やお金を使えるようになる。
効率の良い企業運営ができ、社員の仕事の生産性もあがる。
そうすれば、社長や社員のみんなが、今、自分が大切にしたい趣味の時間、勉強する時間、家族や恋人と過ごす時間を大切にしながら、豊かな気持ちで働けるようになる。
そんな企業が、日本中にどんどん増えていく。それが、ストーリーテラーズがめざす社会です」

現在、チームストーリーテラーズのメンバーは、全員が小さい子どもを持つ母親だ。

子どもを保育園に預けてコワーキングスペースで働いたり、自宅で子どもと一緒に働いたり、子どもをおんぶしながらオンラインの打ち合わせにのぞんだり…

それぞれが自分たちにあう働き方を模索しながら、ストーリーテラーズというフィールドで、チャレンジを続けている。

メンバーの山本も、3人の子を持つ母だ

現在のモットーは「家族第一」。

それは、彼らにとって、今、家族が最も大切な存在だから。身近な家族と過ごす、二度と戻らない「今」という瞬間を、大切にしたいからだ。

コワーキングスペース「THE DECK」で働きながら、ストーリーテラーズに参画する本部

メンバーはみな、少し前までは、必死にがむしゃらに働いていたという。

成果をだすため、目標を達成するため、責任を果たすため、残業や徹夜をいとわず、時に家族は後回しになり、自分の体調を壊しながらも、懸命に働いた。

そのことで、得られたこともたくさんあった。

一方で、失ったものもあった。

その時の反省を経て彼らは「これからはどんなときも、家族第一でありたい」と強く思うようになった。

アメリカで子育てに奮闘する大竹

ー高野「『ストーリーテラーズは、ママに優しい会社になりたいの?』と聞かれると、答えはNOです。
むしろ厳しい会社になろうとしています。
『ママだからできない』なんて言わせない。様々な制約のある私たちだって、きっとやれる、達成できる。だから短い時間でも生産性をあげ、アウトプットを最大にするべく努力する。
スキマ時間を利用して情報収集や勉強を行い、常に一石三鳥を意識して効率良く動くことを意識しています」

とはいえ、うまくいかないことも多い。毎日模索、改善の繰り返しだ。

でも、情熱をもってチャレンジする彼らだからこそ、魂のこもった、読み手の心動かすSTORYを制作することができるのだろう。

いちどは夢破れたものや、大きな挫折経験があるものにも、再び「経営者」としてチャレンジする環境を提供するチームエナジー。この舞台の上で、高野がどのように成長し、仲間とともにどのような世界を創り出していくのか。

今後の活躍に期待したい。

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