最近、ニュースやCMで「IoT(アイ オー ティー)」という言葉をよく耳にするようになった。「IoT」とは「Internet of Things(インターネット オブ シングス)」の略。日本語では「モノのインターネット」と呼ばれている。
住宅や家電製品(モノ)がインターネットと繋がることで、私たちの生活がより便利に、より豊かになっていく仕組みのことだ。
そんな「IoT」を、自分たちの暮らしに取り入れたい家庭向けに、IoT導入支援サービスをスタートさせた会社がある。
サービス名は、「AILIFE(エー アイ ライフ)」。
なんと、現役高校生二人が立ち上げたというから驚きだ。

創業者の中村天海(左)と中本夢大(右)
現在は、東京23区を中心にサービスを展開しているが、今後は徐々にサービス提供地域を広げていくという。
「IoT」によって、私たちの暮らしがどのように変わるのか。
そしてなぜ、高校生二人が家庭向けのIot導入支援サービスを始めるに至ったのか。
AILIFE(エーアイライフ)を立ち上げた、中本 夢大(なかもと ゆめた)と中村 天海(なかむら てんかい)の二人に、話を聞くことにした。
「IoT」で、私たちの暮らしはどう変わる?
ー「IoTはモノのインターネット」と説明されたところで、今いちピンと来ない人も多いはず。そもそも「モノのインターネット」とは何なのか、本人たちに聞いてみた。
中本「『IoT(モノのインターネット)』は、私たちの暮らしをより快適に、より豊かにしてくれるものだと、ご理解いただければと思います。
私たちは日頃、スマホなどを使い、家族や友人と自由に話したり、情報収集したり、ネットショッピングしたりと、一昔前では考えられないような便利な生活を送れるようになりました。
そしてこれからは、『ヒト』だけではなく『モノ』がインターネットに繋がることで、さらに便利で豊かな暮らしが実現がするんです」
中村「分かりやすいところでいうと、自宅の家電製品を『声』のみで操作できるようになることが、IoT導入のメリットの一つですね。
例えば、家事の手を止めることなく『声』のみで、テレビ、給湯器、ロボット掃除機などの操作ができるようになる。パソコンで仕事をしながら、『声』のみでエアコン、音楽、照明などの操作が可能になる。

初めて使う人でも、簡単に操作できる
さらにお洒落なライフスタイルを望む方は、専用のLED照明をお部屋に設置して、
『今日は映画を見るから部屋の照明をホームシアター風にしよう』
『今日は仕事に集中したいから、部屋の照明をお洒落なオフィス風にしよう』
などコンセプトを決め、『声』のみでお部屋の照明や壁の色の雰囲気を変えて楽しむこともできます」

声のみで、部屋の雰囲気まで変えられる
中本「また『IoT』は、離れた場所から自宅の家電製品などを操作できるのも特徴の一つです。
外出先からスマホを操作し、家に到着する15分前にエアコンのスイッチをいれることで、帰宅後すぐに快適な温度の部屋でくつろぐことができたり、最寄り駅についたタイミングで給湯器のお湯はり設定をし、帰宅直後に温かいお風呂に入ることができたり…。

エアコンも、リモコンを使わず、遠隔で操作可能だ
これらはほんの一例ですが、お客様がどのような暮らしを実現したいかをヒアリングさせて頂き、必要なIot端末のアドバイスから、購入、導入時の面倒な設定、その後ご家庭で活用できるようになるまで、一連の流れを全てお手伝いをさせていただいています」
ー住居や家電製品といった「モノ」がインターネットにつながることで、「家事の時短」「心身ともに健康な生活」「自分たちが理想とするライフスタイルの実現」などが可能になる。
便利になることは分かるが、顧客の立場からすると「そのような最新機器を、果たして自分たちが使いこなせるのか」という不安があるのも事実だ。
中本「慣れ親しんだ暮らしが変化することに対して、不安に感じられるお客様は多いです。だからこそ僕たちは、お客様に『寄り添う』姿勢を大切にしています。
『この人たちに任せれば安心だ。面倒なことも全てやってくれる。何かあってもいつでもすぐに相談できて解決できる』
そう思っていただけてこそ、成り立つサービスだと思っているからです。

何でも気軽に相談してもらえる存在を目指したい
ですから、『IoT』以外にも、ネット環境のことやスマホの操作方法など、お困りごとがあれば気軽に相談していただきたいですね。
例えば、
『今契約しているWi-fiを違う会社のものに変えたい』『このサービスを解約したいけれどやり方がわからない』
といったことでも、何でもお話いただきたいと思っています」
中村「また導入後は、エラーや不具合が起こることは多かれ少なかれ出てきます。そんな時は、LINEやお電話でいつでも相談いただける体制を整え、加えて、エラーごとの解決手順を分かりやすく示した動画をお送りしたりもしています。
常々『お客様に寄り添う姿勢』を大切にしながら、サービスを提供させて頂いています」
ー最新の暮らしを実現するイメージがある「IoT」だが、実は「知らない間にIoTを使っていた」という人も多いと言う。
中村「例えば、Netflix(ネットフリックス)も『IoT』と言えるのではないでしょうか。

今や多くの人が、自宅で映画やドラマを楽しんでいる
*画像出典:http://www.clovernet.co.jp/tv/netflix.html
以前は、お気に入りの映画やドラマを観るには、お店に行ってDVDをレンタルし、鑑賞した後は、またお店に返却しに行かなければなりませんでした。
それが今では、テレビをインターネットと繋げることで、見たい映画やドラマを、家にいながらボタン一つで、いつでも、何度でも観られるようになりました。
日々新作も追加され、これまでの閲覧傾向から『自分におすすめの映画や番組』も表示されます。だから、ついつい夜ふかししてしまうこともあるのですが…(笑)
『IoT』という言葉だけ聞くと、雲の上の世界の話のように思えてしまいますが、実は現在の暮らしの中にも少しずつ浸透しつつあります。
ですから、暮らしをガラッと変えるのではなく、可能なところから少しずつ変えていくことで、より快適な生活を送ることができるようになると思っていただけたら嬉しいです」

変えやすいところから変えていく、それがIoT導入のコツ
“高校生”であることは、IoTビジネスの強みになる
ー「高校生の起業」。その数は、以前に比べると増えた。とはいえ、まだまだ珍しい存在であることは確かだ。そもそも二人は、なぜ会社を立ち上げようと思ったのか。
また、家庭向けの「IoT導入支援サービス」を始めようと思ったのか。そのきっかけや経緯について聞いてみた。
中本「僕は以前から起業に興味があったので、企業のインターンシップに参加したり、起業について調べるなどしていました。
そして数ヶ月前に、ある事業アイデアを思いつきました。
そこで、友人の中村に、『一緒にやらないか?』と声をかけたんです」

プライベートでも仲の良い中村と中本
中村「中本から誘われた僕は、『おぉ!面白そう!やる!』と即答しました。もちろん学業優先ではありますが、比較的自由に使える時間もあり、何かにチャレンジしてみたいと思っていたところだったので、中本の話に乗ることにしました」

休日も一緒に出かけることも多い
ー事業アイデアを話し合い、父親にも相談しながら、家庭向けのIoT導入サービスの構想を練り上げていった中本と中村。
その後、経営にチャレンジする人をサポートする「チームエナジー株式会社」とのご縁があり、グループ企業の一員として、会社を立ち上げることが決まった。
中本「僕たちは、起業経験はもちろんのこと、社会人経験も無いので、全てが初めての連続でした。
多くの方に応援して頂いているにも関わらず、思うような結果を示せず、焦りが募ったり、必死になるあまり目的を見失いそうになったこともありました。
ー悩んだ時には「自分たちのミッション」について確認し合いながら、二人三脚で走ってきた二人。「サービスにどの程度ニーズがあるのか」を知るためのアンケートやヒアリングを通して、次第に、顧客が置かれている状況が見えてきたという。

多くの方の協力のもと会社設立にこぎつけた
中村「『IoTに興味はあるけれど、導入が面倒だからやっていない』『導入しても、自分たちには使いこなせないと思う』といった理由で、IoTを敬遠する方が多いことが分かりました。
そこで『ヒアリング・必要なIoT機器の選定と購入・面倒な設定・その後活用できるまでのサポートという一連の流れを僕たちがお手伝いできれば、皆さんに安心してIoTを導入いただけるはずだ』と考えました。
その後、実際に数件のご家庭にモニターを実施させていただき、サービスを体感していただきながら、サービスの土台を固めていきました」

実際に使用したWEBアンケートフォーム
ー高校生とはいえ、サービスに向き合う姿勢はプロフェショナル。しかし、顧客の立場からすると「高校生で本当に大丈夫なの?信頼して任せていいの?」と不安になる方も大勢いるのではないだろうか。
中本「はい、お客様がそう思われるのは当然です。ですので現在は、Googleのパートナー企業として、Googleのサービスを企業や教育機関に提供する『ストリートスマート株式会社』の松林社長に顧問になっていただき、密に連携をとりながらすすめています。
また親会社である『チームエナジー株式会社』には、経理・総務・法務・財務といった部分をサポートしてもらい、僕たちはサービスの提供と成長に集中できる体制を作っています。
加えて日々勉強し、より良いサービスをお客様に提供していく気持ちは誰にも負けませんので、そのあたりはご安心ください」

高校生とはいえ、仕事にかける情熱は本物だ
ーまた、高校生であることは決してデメリットではなく、「IoT」の分野ではむしろメリットに働くことが多いと言う。
中村「僕たちは、いわゆるデジタルネイティブ世代です。物心ついた頃には、既にスマホが普及しており、インターネットを使った生活が当たり前という環境で育ちました。
また、面白い新サービスであれば、日々の暮らしの中に自然と取り入れていますし、最新機器の情報を入手するスピードも早いです。

様々な新サービスを日常に自然と取り入れている二人
お客様がご自身でIoTを導入しようと思うと、様々なメーカーの製品についてひとつひとつ自分で調べる必要があるため、時間と手間がかかります。
忙しい時間の合間を縫って調べるのは大変な上に、情報が多すぎて『結局自分たちは何を導入すれば良いのかわからない』と混乱してしまう結果にもなりかねません。
だからこそ、僕たちを頼っていただきたい。
僕たちはいうなれば、ほけんの窓口ならぬ『IoTの窓口』。まずはお気軽に相談していただきたいですね」

AILIFEのホームページ
サービス価格や、IoT投資のメリット
ー暮らしに便利さや豊かさをもたらす「IoT」だが、私たちの「健康」にも大きなプラスになると中村は話す。
中村「最近は、コロナウィルスの影響もあり、これまで以上に『健康』を意識した生活を送る方が増えています。
ただそうはいっても、仕事に、家事に、子育てにお忙しい皆さんが、毎日健康を意識して生活するのは、なかなか難しいことだと思います。
だからこそ、『IoT』の活用をオススメしたいんです。
僕が今使っている『Google Nest hub』。自分のベッドの枕元に置いているタブレットが、僕の睡眠データを毎日記録してくれます。

Google Nest hub。
何時に眠りにつき、何時に起きたのかという睡眠時間以外に、いびき、せきといった音も感知し、眠りの質を分析してくれます。
眠りが浅かったり、夜ふかしが続いたりすると、タブレットから叱られてしまうので、それが悔しくて…(笑)
より、質の高い睡眠を取ることを意識するようになりました。
また、自分の部屋に、タイマーで自動的に開くカーテンを導入してみたところ、朝スッキリと目覚めることができるようになりました。

スイッチボットカーテン。取り付けも簡単だ
目覚まし時計の音よりも、朝の光を浴びるほうが、はるかに、気持ちよく起きられますね。おかげで、早寝早起きが習慣になり、今は、心身ともに健康な良い状態を保つことができています。
それ以外にも、アップルウォッチで心拍や歩数記録したり、体の状態がいつもと異なる時には知らせてもらったり…
まるで、自分だけの健康アドバイザーがいつもそばでサポートしてくれているようで、心強く、本当に便利です」
ー「健康」「家事の時短」「豊かな生活」…IoTによってもたらされる恩恵は、計り知れない。とはいえ、気になるのは導入の費用だ。
中村「まずはLINEにて、現在のWi-fi環境や『IoT』の活用度合い、実現したいライフスタイルなどをヒアリングさせていただきます。
その後、日程を調整し、自宅に訪問させていただき、実際に状況を確認させて頂いた上で、お見積りを出します。
もちろん、お客様の状況にもよりますが、GoogleHomeなどの『IoT』端末を導入するところからスタートする形が多く、そうなると、端末代含めて10万円〜15万円程度となります。
導入後も、LINEやお電話でサポートさせていただきますが、特に年会費などはいただきません」

LINEでいつでも気軽に相談できる
中本「最初にまとまった投資をして頂く形にはなりますが、これにより、家事が時短になり空いた時間を趣味に使えたり、在宅ワークがはかどり仕事の生産性があがったり、運動や食事含めた規則正しい生活が習慣になり、心身ともに健康な生活を送ることができたり…
このようなプラスの効果が、この先何ヶ月も、何年も続くことを考えると、とても価値のある投資だと思います」
ー「IoT」導入により、技術格差の無い社会を作ることが、二人がこれから目指していきたい世界だという。
中本「日々新しい製品やサービスが発売される中、情報や活用方法を知っている人は、自分たちの暮らしをどんどん便利に、豊かにしていくことができます。
一方で、そういった情報を知る術が無い方や、活用方法が分からない方は取り残されていってしまう。
今後もますます、技術格差は広がっていくと思います。
ただそのような方々でも、身近で情報を教えてくれたり、導入を手伝ってくれる人がいれば、自分たちの暮らしを、簡単に、より良くしていけるようになります。
だからこそ僕たちはお客様に『寄り添う』姿勢を大切にしたい。

お客様に寄り添う姿勢を忘れない。
暮らしを豊かにするためだとはいえ、新しいことを導入するのはハードルが高いですよね。ですから僕たちが、『IoT』とお客様の架け橋になり、まずは入り口を開いてあげたい。
お客様には、本当に気軽な気持ちで、ホームページをごらんいただき、ご相談頂きたいですね。
実際に訪問させて頂く日時も、平日休日問わず、可能な限り柔軟に対応しますし、現在は東京近郊でサービス提供していますが、大阪や関西方面など、どこでもかけつけます!」
ーIoT導入によって、技術格差をなくし、人々の暮らしをより豊かに、便利にしたい。高校生二人の挑戦は、まだ始まったばかりだ。